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基準薬局の“くるくる看板”にスイス大使館から抗議<前編>

2015/09/11

 「健康づくり支援薬局(仮称)」について検討が進められている。かかりつけ薬局として複数医療機関からの処方箋を応需し、患者さんの服用薬を一元管理するとともに、OTC薬を備えて疾病予防から在宅活動まで行い、医療・介護に関する情報を提供することができる薬局を「健康づくり支援薬局」として、国民に示そうということのようだ。

 この原稿を書いている時点では、その要件や認定方法、一般の人への認知方法などはまだ明らかになっていないが、要件もさることながら、一般の人にこの制度をどう浸透させていくのかが気になっている。一般の人に知ってもらってこその制度だからだ。

 その昔、薬局の機能を一般の人に知ってもらおうと奮闘した経験がある。

一目で分かるサインを作ろう
 1990年、日本薬剤師会の常務理事だった頃、日薬が「基準薬局」という制度を作った。

 当時(今もだが)、日薬では医薬分業を進める上で、患者さんにかかりつけ薬局を持つよう、さかんに啓発していた。しかし「かかりつけ薬局を持ってください」と言われても、一般の人には、どのような薬局を選べばよいか分からない。そこで、一定の機能を備えた薬局を認定することにしたのだ。それが「都道府県薬剤師会認定基準薬局」だ。

 時代を経て要件などは異なっているが、一定以上の機能を持つ薬局を国民に示すという点で、今、議論されている「健康づくり支援薬局(仮称)」と基本コンセプトは同じではないかと思う。

 かかりつけ薬局を決める際の目安にしてもらうものである以上、一人でも多くの人にこの制度を知ってもらうことが大切だ。この件を担当することになった私は、認知度を高めるためには、分かりやすい名称やサインが不可欠と考え、そこにこだわった。

 当初、「ホーム薬局制度」とか「家庭薬局制度」などの名称案が出たが、調べてみたところいずれも実在する薬局があり、使えなかった。そこで、ストレートに「基準薬局」とした。

 そして、基準を満たした薬局であることが一目で分かる看板を作ることにした。目指すは床屋さんのサインポール(赤、白、青の帯がくるくる回転する、細長い円柱形の看板)だ。日本人なら誰でも、あれが店先に置いてある店は床屋さんだと知っている。そして、くるくる回っていれば営業中だと分かる。そんな風に子どもから高齢者まで誰もが分かるサインを作りたいと考えたのだ。

著者プロフィール

佐谷圭一(日本薬剤師会元会長/アスカ薬局)さや けいいち氏 1961年、明治薬科大学卒業。薬局勤務を経て、63年アスカ薬局(東京都練馬区)開局。74年日本薬剤師会常務理事に就任、95年から98年まで中央社会保険医療協議会委員を務め、98年から2002年まで日本薬剤師会会長。現在は同会顧問。著書に『十文字革命』(薬事日報社)など。

連載の紹介

佐谷圭一の「故きを温ねて新しきを知る」
過去があるから今がある。そして歴史は繰り返される——。院外処方箋発行率が10%に満たない時代から医薬分業を推し進めてきた元日薬会長の佐谷氏が、今の薬局・薬剤師業界で話題になっている出来事について、先人たちの営みを振り返りながら解説します。

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