
(写真1)買収した薬局の処方箋が入った段ボールの山
最近、薬局の買収(buyout)にかかわる機会がありました。その薬局は、チェーン薬局が主流のアメリカでは珍しい個人経営で、薬剤師が薬局長と経営者を兼ね、奥さんが経理を担当し、テクニシャンが1人いました。処方箋調剤は行っていてもOTC薬はあまり置いていなく、日本の調剤薬局のような感じです。
経営者の薬剤師が高齢になったので薬局を引き払う決意をし、距離的に一番近い私の薬局が後を引き受けることになりました。薬局のスタッフは買収のプロセスには関与しないので、契約内容や買収金額は分かりません。私にとっては、買収というより引き継ぎに近い感覚でした。
買収が行われた日、当の薬局は、処方箋の移転先を示す張り紙一枚で門が閉ざされていたそうです。いつもの薬局に薬を取りに行って、店が永久に閉じたと知った患者さんは少なからずショックを受けたでしょう。
突然の閉店で私の薬局に来た患者さんには、憤りを隠せない方もいました。私も、かかりつけてくれていた患者さんたちに一言の挨拶もなく閉じてしまった薬局の姿勢には疑問を抱かないではいられません。
とはいえ、私は引き継いだ患者さんたちの対応にてんてこ舞い(写真1)。処方箋のデータはオンラインで以前の薬局から転送されるので、情報の引き継ぎという点ではスムーズでしたが、買収から数週間の忙しさは、本当に尋常ではありませんでした。