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抗HIV薬のアドヒアランス95%を達成するために

2011/02/15

 前回書いた通り、HIV感染症治療のエキスパートとなるべく研鑽を積んでいたら、早速知識が役立つ場面がありました。

 薬局を初めて訪れた女性患者の抗HIV薬の一つがネビラピン(商品名ビラミューン)だったのです。ビラミューンはCD4リンパ球数(以下CD4値)が250/mm3以上の女性が使用すると、それ以下の患者に比べて肝機能障害の発現率が高いことが知られています。

 私はこのことに気が付き、どうすべきか考えました。抗HIV薬は、服薬アドヒアランスを95%以上に保つことが大切です。それには良好な患者・医師・薬剤師関係を築かなくてはなりません。

 女性患者は初来局であったし、まだ覚えていないかもしれないラボの数値をあれこれ聞き出して困らせるのもどうだろうか、と悩みました。結局、その場でCD4値を尋ねるのはやめ、ドクターのオフィスに連絡して、ビラミューンが彼女に適しているかどうかを確認しました。

 結果はオーライ。女性患者に適した薬だと分かりました。電話一本掛けるというのは、大したことではありませんが、こうすることで最適な薬物治療を提供できるだけでなく、ドクターとの信頼関係を築く一歩にもなります。


著者プロフィール

大野真理子(ウォルグリーンズ・スペシャルティ薬局勤務〔米国テキサス州〕)
おおの まりこ氏○1997年武庫川女子大学薬学部卒業。同大学薬化学研究室嘱託助手を経て、2005年米国フロリダ大学卒業、Pharm.D取得。米国ウォルグリーンズに入社し、07年から16年まで薬局長を務める。15年に経営学修士(MBA)取得。16年フロリダ州にてコンサルタント薬剤師免許取得、同年テキサス州薬剤師免許取得。17年よりテキサス州のウォルグリーンズ傘下のスペシャルティ薬局に勤務。

連載の紹介

大野真理子の「アメリカで薬剤師になる!」
日本の薬学部を卒業後、単身渡米してPharm. D.を取得し、米国の大手薬局チェーンで薬局長を経験、さらにはフロリダ大学で経営学修士(MBA)を取得した大野氏。現在は大手薬局チェーンのウォルグリーンズ傘下のスペシャルティ薬局に勤務する同氏が、米国の薬局や薬局薬剤師の“今”を現地からリポートします。

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