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今一度考えたい「飲み忘れ」

2019/11/27

(イラスト:宮崎 徹)

 処方医や薬剤師にとって、交付した薬が残薬になってしまうのは気になるところです。果たして患者さんの病状が、服薬により改善したのか、悪化したのか。今まで患者さんから聞いて把握していた服用状況が、色々な理由で事実と異なっていたら・・・・・・。そう考えるととても心配です。

 どんな薬も指示通り服用を開始して、またやめていければそれに越したことはないのですが、それをきちんと実施できている患者さんばかりではないことに留意すべきです。「服薬を忘れる」ことのほかに、副作用が怖くて「服用をためらう」患者さんも存在することが分かっています。

 メトトレキサート(商品名リウマトレックス他)は、分1または分2または分3で服用し、週5日間以上の休薬を必要とする薬です。残念ながら、昔から上手に服用できない患者さんが一定数いました。さらに、口内炎や肝酵素値の軽度上昇があるとメトトレキサート服用後24時間から48時間後に、葉酸(フォリアミン)が1~2錠追加になります。それぞれ飲み忘れると、1週間のサイクルが大幅にずれることになります。

 生物学的製剤のインフリキシマブレミケード他)は、メトトレキサートがきちんと服用できていることが前提で投与される注射薬です。インフリキシマブ投与による自己抗体の産生を抑制するという目的もあるため、メトトレキサートを継続して服用する必要があるからです。

 しかし、メトトレキサートは夏場や発熱などで脱水の懸念があるときには、休薬する必要が出てきます。そのことも処方医は患者さんにあらかじめ伝えています。薬剤師がそのことを知らずに、「正しく服用を続けてください」と服薬指導すると患者さんはどちらの指示を受け入れるか困ることになります。

 高齢患者さんで関節リウマチと併発することも多い骨粗鬆症には、治療薬のビスホスホネート製剤が頻用されます。製剤には毎日服用、週1回服用、月1回服用と3タイプがあり、いずれも起床時かつ空腹時に水で服用します。ビスホスホネート製剤は食事の影響で極端に吸収が低下します。服用を忘れて朝食を摂ってしまったら、また翌朝に服用すればよいのですが、月1回製剤で薬袋に「毎月1日に服用してください」と指示したために、次の月まで待ったという笑えない事例もあります。月1回製剤は薬価も高く、4回分で約1万円になります。医療経済上も望ましくないことになります。

 薬が残っていて困る例を、幾つか挙げます。

著者プロフィール

宮崎徹(厚生連高岡病院[富山県高岡市]薬剤部)◎富山県生まれ。1989年に名城大学薬学部を卒業、同大薬学専攻科に進学。専攻科修了後から病院薬剤師として研さんを積み、99年から厚生連滑川病院、2018年から厚生連高岡病院に勤務。現在は関節リウマチと低栄養の治療に関心を持ち、日々奔走。日本リウマチ財団登録薬剤師、日本静脈経腸栄養学会学術評議員・NST専門療法士。座右の銘はPatient-Oriented。

連載の紹介

宮崎徹の「関節リウマチの話をしませんか」
関節リウマチはこの20年ほどで新薬が多数登場し、その予後は劇的に変わりました。しかし患者の不安が完全に解消されたわけではなく、むしろ服薬指導を担う薬剤師の役割は、より重要になっています。富山の病院でリウマチ治療を18年間見つめてきた宮崎徹氏が、見聞きし、経験してきた治療のあれこれを、病院薬剤師ならではの視点で綴ります。

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