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関節リウマチ治療の原則「T2T」って何ですか

2017/11/22

(イラスト:T.MIYAZAKI)

 朝晩の冷え込みが厳しくなり、外気と生活空間の寒暖の差が大きくなりました。私の住む北陸地方は、晩秋になると毎日のように雨が降り、気温が下がり、湿度が高くなるため、関節リウマチ(RA)の関節炎に悩む患者さんにとって、嫌な季節です。

 前回は検査値の大まかな読み方について、お話しました。今回は、RAの治療の原則ともいえる「T2T」を、取り上げます。

 現在、RAの治療は、世界共通のガイドラインにのっとって治療を進めるのが一般的になっています。これは、「患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきである」との言葉で始まるTreat to Target(目標達成に向けた治療:T2T)というガイドラインです。

 T2Tは、2008年にオーストリアのSmolen先生らによって提唱され、日本では、慶應義塾大学病院リウマチ内科医師の竹内勤先生が中心となって、その翻訳と普及に尽力されました。

 RAの治療は、メトトレキサート(商品名メソトレキセート、リウマトレックス他)や生物学的製剤などの新薬の登場で、パラダイムシフト(革命的な変化)を巻き起こしました。

 しかし、次々と発表される多くの知見やアウトカムが、臨床現場で十分共有されていないとの指摘が欧州を中心に起こり、他の疾患治療に目標があるように、RA治療にも目標を設定することが提唱され始めました。

 症状のコントロール、関節破壊の抑制、身体機能の正常化,社会活動への参加──。これらの達成はRAの患者さん全員が望むことです。この希望の達成に向けて治療の適正化を行い、関節の炎症を抑えることがT2Tの最大の目標となります。患者さんが主治医との間でこの目標設定を合意した上で、治療が開始されます。

 具体的には、エビデンスに基づいた国際的なエキスパート・コンセンサスを世界的に普及させることを目的として、4つの基本原則と10のリコメンデーション(推奨方法)が提示されました。

 以下にT2Tの日本語訳を記します。

著者プロフィール

宮崎徹(厚生連高岡病院[富山県高岡市]薬剤部)◎富山県生まれ。1989年に名城大学薬学部を卒業、同大薬学専攻科に進学。専攻科修了後から病院薬剤師として研さんを積み、99年から厚生連滑川病院、2018年から厚生連高岡病院に勤務。現在は関節リウマチと低栄養の治療に関心を持ち、日々奔走。日本リウマチ財団登録薬剤師、日本静脈経腸栄養学会学術評議員・NST専門療法士。座右の銘はPatient-Oriented。

連載の紹介

宮崎徹の「関節リウマチの話をしませんか」
関節リウマチはこの20年ほどで新薬が多数登場し、その予後は劇的に変わりました。しかし患者の不安が完全に解消されたわけではなく、むしろ服薬指導を担う薬剤師の役割は、より重要になっています。富山の病院でリウマチ治療を18年間見つめてきた宮崎徹氏が、見聞きし、経験してきた治療のあれこれを、病院薬剤師ならではの視点で綴ります。

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