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発達障害に伴う睡眠障害に待望の新薬「メラトベル」

2020/05/18

 このところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話題ばかりで暗い気持ちになりがちでしたが、小児科領域でちょっとうれしい話をご紹介します。既に知っている方も多いかと思いますが、2020年3月25日、日本でもメラトニン受容体作動性入眠改善薬が製造販売承認されました。

 小児でも大人と同様に、眠れないという睡眠問題がよく起こります。不眠、日中の強い眠気、覚醒困難、概日リズム睡眠障害など、何らかの睡眠上の問題を抱えている子どもは4人に1人いると言われています。自閉スペクトラム症などの発達障害を有する子どもは特に顕著で、慢性的な睡眠不足と睡眠覚醒リズムの問題を抱えています。

 睡眠不足は多動や過活動を起こす傾向にあり、発達障害の症状を悪化させ、日常生活に悪影響を及ぼします。さらに、このことが睡眠の問題に悪循環を引き起こします。睡眠の問題を解決すれば、見かけ上、重症化していた発達障害の中核症状を改善する可能性があるのです。しかし、これまで小児期の発達障害に伴う睡眠障害の適応を有する薬剤はありませんでした。

 そのような状況の中、ノーベルファーマが2013年から開発を開始し、19年1月に日本小児神経学会の早期承認の要望書にも後押しされ、今春メラトニン(商品名メラトベル)が承認されました。

 メラトニンはトリプトファンを原料に、セロトニンを経て合成される内因性のホルモンです。メラトニンは体内時計に働きかけるホルモンの一種で、夜になると分泌量が増えて眠気を引き起こし、明るくなると光の刺激で分泌量が減少して活動性を高めるという、睡眠・覚醒を含む概日リズムの維持・調整を担っています。メラトニン受容体にはメラトニン(MT)1とMT2受容体の2種類があり、それぞれ視交叉上核に分布しています。MT1受容体が神経活動を抑制し、MT2受容体が睡眠位相を変動させることによって催眠を促します(図1)。

著者プロフィール

松本康弘(ワタナベ薬局上宮永店〔大分県中津市〕)
まつもと やすひろ氏。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。

連載の紹介

松本康弘の「極める!小児の服薬指導」
小児科門前の薬局で、小児の服薬指導に日々奮闘する松本氏が、日常業務で感じたことや、子どもに薬を飲んでもらうための工夫の数々を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載!学会で仕入れた、小児科診療の最新トピックスなども飛び込みで紹介します。

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