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授乳婦にゾフルーザを投与しても大丈夫か?

2019/10/24

 まだまだ暑い日が続く9月初旬、当薬局にインフルエンザの患者さんが2人やってきました。「え!」と思っていたら、9月12日の沖縄タイムスに、「沖縄でインフルエンザ流行警報 冬以外10年ぶり 子どもの感染が拡大」という記事がありました。今年は流行が早いのかな……と思っていたら、10月上旬に、国立感染症センターのウェブサイトにインフルエンザ流行レベルマップの掲載が始まりました。例年は11月に入ってからアップされるのですが、1カ月程度早まりました。何となく今シーズンは流行が早まる予感がします。

 さて、昨シーズンはゾフルーザ(一般名バロキサビルマルボキシル)の処方の増加と、耐性ウイルスの問題が世間をにぎわしました。昨シーズンは当薬局でも、「医師に授乳中と伝えるのを忘れてゾフルーザが処方されたが、授乳中に服用しても大丈夫でしょうか?」という問い合わせがありました。

 同薬の添付文書の授乳婦に関する項目には、「授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること(ヒト母乳中への移行は不明だが、ラットで乳汁中への移行が報告されている)」と書かれています。また、メーカのホームページでも、「ゾフルーザは授乳婦への投与は可能ですか?」という問いに対して、「可能ですが、授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせてください」と書かれています。

 ゾフルーザの乳汁移行性は、ヒトでのデータは公表されておらず、ラットで母乳移行が確認されています。同薬のインタビューフォームによれば、ラットでは投与24時間後には母乳移行と血中濃度がともに検出限界以下になっているので、服用翌日の授乳には心配ないのかなと思われました。しかし、ヒトでの血中半減期は99.6±19.6時間ですので、ラットのデータをそのままヒトに当てはめることはできません。ただ、蛋白結合率が 92.9~93.9%と高いので、母乳移行性は低いと思います。また、ゾフルーザは、小児を対象とした治験が行われたことも勘案し、当薬局では昨シーズンは、患者さんに対して、「神経質になり過ぎなくてよいし、断乳するほど厳密に避ける必要はありません」と説明していました。しかし、こう指導しながらも、何かはっきりしない、もやもやとした感じでいました。

著者プロフィール

松本康弘(ワタナベ薬局上宮永店〔大分県中津市〕)
まつもと やすひろ氏。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。

連載の紹介

松本康弘の「極める!小児の服薬指導」
小児科門前の薬局で、小児の服薬指導に日々奮闘する松本氏が、日常業務で感じたことや、子どもに薬を飲んでもらうための工夫の数々を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載!学会で仕入れた、小児科診療の最新トピックスなども飛び込みで紹介します。

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