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銀杏の食べ過ぎで小児が痙攣を起こす理由とは

2018/07/30

 今回は調剤の話ではありません。昔、親がビールのつまみで食べていた銀杏を私も食べたいとねだると、「銀杏は年の数以上食べたらダメだ」と言われたことがあります。子どもの頃は、親が子どもに食べられないように作り話しているくらいに考えていましたが、大人になって調べてみると、銀杏を子どもが食べ過ぎると、「銀杏中毒」になるというのは、中毒の専門家などの間ではよく知られたことのようです。

 実際に、日本中毒情報センターの保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報ファイルにも、「銀杏は古くから薬用、食用にされてきたが、食べ過ぎると中毒を起こす。戦後の食糧難の時代に事故が多発したが、最近でも小児が食べ過ぎて痙攣を起こす事故が時々発生している」と書かれています1)。経口摂取による中毒量は小児で7~150個、成人では40~300個と幅がありますが、もしかしたら小児では7個食べて痙攣を起こした例があったのかもしれません。

 では、銀杏による中毒はなぜ起こるのでしょうか。

 銀杏の実には4′-O-メチルピリドキシン(通称ギンコトキシン)が含まれています。ギンコトキシンの構造は、ビタミンB6ピリドキサールの構造に酷似しています(図1)。

図1 ビタミンB6とギンコトキシン(4′-O-メチルピリドキシン)の構造式
銀杏の実に含まれる4′-O-メチルピリドキシン(ギンコトキシン)と、ビタミンB6のピリドキサールの構造は非常に似ている。

著者プロフィール

松本康弘(ワタナベ薬局上宮永店〔大分県中津市〕)
まつもと やすひろ氏。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。

連載の紹介

松本康弘の「極める!小児の服薬指導」
小児科門前の薬局で、小児の服薬指導に日々奮闘する松本氏が、日常業務で感じたことや、子どもに薬を飲んでもらうための工夫の数々を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載!学会で仕入れた、小児科診療の最新トピックスなども飛び込みで紹介します。

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