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便秘薬はセフェム系抗菌薬の効果を下げる?

2015/12/04

 少し前の話ですが、第一三共よりセフポドキシムプロキセチル(CPDX-PR、商品名バナン他)錠・ドライシロップ(DS)の「使用上の注意改訂のお知らせ」が来ました。そこで目に留まったのが、「相互作用(併用注意)」の項に書かれた、アルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸剤との相互作用です。アルミニウムまたはマグネシウムは、メカニズムは分からないが、CPDX-PRの効果を減弱させるというのです。

 どこかで聞いたことがあるような……。そうです、同じセフェム系抗菌薬、セフジニル(CFDN、セフゾン他)の添付文書にも同じ文面があります。これまで当薬局では、便秘で酸化マグネシウムを服用しているお子さんにCFDNが処方されたときは、「CFDNは酸化マグネシウムと併用すると吸収が落ちるので、CPDX-PRドライシロップを処方してください」と医師にお願いしていました。今までやっていたことが無意味だったとは……としばし呆然としてしまいました。

 さて、気を取り直して、早速今回の改訂の根拠となった論文を取り寄せました。タイトル「The effects of gastric pH and food on the pharmacokinetics of a new oral cephalosporin, cefpodoxime proxetil」を見てまたびっくり1)。そう、アルミニウムやマグネシウムによるCPDX-PRの効果減弱は、胃内pHの上昇による吸収低下によるというのです。改訂の根拠となったもう1つの論文「Phramacokinetics of cefpodoxime proxetil and interactions with an antacid and an H2 receptor antagonist」では、アルミニウムやマグネシウム含有の制酸剤だけでなく、H2受容体拮抗薬もCPDX-PRの吸収を阻害するとありました2)

 後者の論文では、相互作用記載の根拠となった、CPDX-PRに水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤(マーロックス他)やH2受容体拮抗薬のファモチジン(ガスター他)を併用した場合のCPDX-PRの血中濃度の低下が示されています(図1)2)。グラフを見れば一目瞭然、CPDX-PRに水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤やファモチジンを併用すると、CPDX-PRの血中濃度が全体的に下方にシフトしているのが分かります。

著者プロフィール

松本康弘(ワタナベ薬局上宮永店〔大分県中津市〕)
まつもと やすひろ氏。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。

連載の紹介

松本康弘の「極める!小児の服薬指導」
小児科門前の薬局で、小児の服薬指導に日々奮闘する松本氏が、日常業務で感じたことや、子どもに薬を飲んでもらうための工夫の数々を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載!学会で仕入れた、小児科診療の最新トピックスなども飛び込みで紹介します。

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