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熱性痙攣のガイドラインが改訂されました

2015/06/11

 本コラムに2015年3月5日付で「抗ヒスタミン薬と熱性痙攣」が載ったその月末に、日本小児神経学会から「熱性けいれん診療ガイドライン2015」が発行されました。前回改訂から実に20年近く経っています。新しいガイドラインは、発作時の対応やジアゼパム坐薬の予防投与など、医療者や患者が対応に悩むことが多い項目についてクリニカルクエスチョン(CQ)形式で記述されているのが特徴です。各CQについて、取るべき対応の推奨度(推奨グレード)がエビデンスレベルに応じて提示されているので、とても分かりやすいです。

 われわれ薬剤師に特に関係するのは、(1)ジアゼパム坐薬(商品名ダイアップ坐剤)、(2)解熱薬、(3)抗ヒスタミン薬に関する項目です。抗ヒスタミン薬に関しては既に記載したので、ここでは残りの2つの薬について紹介します。

 まず、発熱時のジアゼパム坐薬についてです。

 ガイドラインでは、「熱性痙攣の既往がある小児において、発熱時のジアゼパム投与は必要か。適応基準は何か」というCQを設け、その対応として、「熱性痙攣の再発予防の有効性は高い」としています。しかし、同時に「副反応も存在し、ルーチンに使用する必要はない」と付け加えています。

 このようにジアゼパム坐薬の使用を制限する理由は、熱性痙攣の再発率が39%と半数以下であり、多くの患児ではジアゼパム坐薬を投与しなくても再発しないことによります(最近の報告でも24.2~40.4%)。

 特に、熱性痙攣の大半を占める単純型熱性痙攣の患児では、その後のてんかんの発症率が極めて少なく、また痙攣を繰り返しても、学習障害や中枢神経に障害を起こす根拠はありません。むしろ、ジアゼパム坐薬を使うと副次反応(筋弛緩や興奮性など)が出現することを考慮して、「ジアゼパム坐薬により単純型熱性痙攣を予防するメリットは小さい」と結論付けられました。

 では、どのような場合に使用するのでしょうか。ガイドラインは、ジアゼパム坐薬の適応を、表の基準を満たす場合としています。

著者プロフィール

松本康弘(ワタナベ薬局上宮永店〔大分県中津市〕)
まつもと やすひろ氏。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。

連載の紹介

松本康弘の「極める!小児の服薬指導」
小児科門前の薬局で、小児の服薬指導に日々奮闘する松本氏が、日常業務で感じたことや、子どもに薬を飲んでもらうための工夫の数々を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載!学会で仕入れた、小児科診療の最新トピックスなども飛び込みで紹介します。

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