お子さんの服薬指導ではこれまで、「頑張りすぎない服薬指導」、「薬剤師が薬局でのませてみました」と書いてきましたが、その第3弾、「おとなのみ」です。
雑誌等で、小児の服薬指導が取り上げられると、よく、食品との混合が書かれています。私も薬剤師になりたての頃は、学会や雑誌で「薬の飲み合わせ」が書かれていると、必死になって書き写していました。それらの情報を利用して、「この苦い○○という薬、飲めない時には△△に混ぜてね」と何の疑いもなく指導と思って伝えていました。
しかし、われわれの子どもの頃を考えると、親はわざと甘くせずに、頑張って飲ませるようにしていました。粉薬を食べ物と混ぜて飲ませるという安易な指導は、薬を飲む基本である「薬は水で飲む」ということから大きくそれています。ある程度の年齢に達したら、本人に理解してもらい、自ら進んで飲んでもらう事を勧める指導が必要です。そのためには「どうしたら良いか?」悩んでいた時に、出会ったのが、「大人飲み」です。「大人飲み」では、アイスもお薬ゼリーもチョコも使いません。あるのは同じくらいのお子さんが上手に飲んで、得意そうにしている写真だけです。それを見て自尊心をくすぐられて、頑張ってお子さんに飲んでもらうというものです。
この「大人飲み」は東京都のいながき薬局に勤務されている稲垣美知代先生(写真1)が、数年前から実施されている服薬指導です。今回は、第24回日本外来小児科学会の「熱血リレー」で発表された内容1)から紹介します。
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著者プロフィール
松本康弘(ワタナベ薬局上宮永店〔大分県中津市〕)
まつもと やすひろ氏。1956年生まれ。熊本大学薬学部卒業後、大手製薬企業の研究所勤務を経て、2001年に株式会社ワタナベに転職。最初に配属された店舗で、小児の服薬指導の難しさや面白さに魅せられ、患者指導用のパンフレットの作成などを積極的に行うようになった。小児薬物療法認定薬剤師。

連載の紹介
松本康弘の「極める!小児の服薬指導」
小児科門前の薬局で、小児の服薬指導に日々奮闘する松本氏が、日常業務で感じたことや、子どもに薬を飲んでもらうための工夫の数々を紹介します。明日から使える具体的なノウハウ満載!学会で仕入れた、小児科診療の最新トピックスなども飛び込みで紹介します。
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