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第23回日本渡航医学会学術集会レポート(3)
薬の携行、「気をつけないと捕まりますよ!」
満員御礼の薬剤師部会セミナーより

2019/11/07
佐藤 厚

 今年の第23回日本渡航医学会学術集会の薬剤師部会セミナーには、本当に多くの先生方が会場に足を運んでくださいました。この場を借りて御礼申し上げます。

 恒例の裏話から入りますが、当初の計画では、セミナーでの私の講演の持ち時間は質疑応答を含めて50分程度ということで、スライドを準備していました。

 ところが薬剤師部会セミナーが始まる直前になって、「せっかく部屋に入りきれないほどの人数が集まったので、部会としての種々の報告はカットして構いません。80分でも90分でも、とにかく時間を全部使ってしゃべってください!」と伝えてきたのは、薬剤師部会長の櫻井真理子先生。こうなったら、アドリブ満載でやるしかありませんので、頑張りました。

 本題ですが、「海外渡航時の薬の携行」についてお話させていただきました。渡航先の国の法律に気をつけないと、所持している薬物を理由に逮捕・収監される恐れがありますので、サブタイトルとして「気をつけないと捕まりますよ」というサブタイトルをつけました。

 はじめに、日本渡航医学会の薬剤師会員専用メーリングリストを通じて、実際にあったEメールのやりとりを紹介し、アプローチの方法を探りました。

 「今度タイに行かれるという患者さんが、医療用麻薬の持ち込みについて、薬剤師に質問してきました」

 読者の中にも、このような質問を受けたことのある方は結構いると思います。渡航医学会薬剤師部会の調査では、「もっと知りたい」というリクエストが多い話題です。皆さんなら、こんな時どうしますか。

 「麻薬の持ち込みについて大使館や領事館に電話してみたんですが、音声ガイダンスのみで、肝心のイエスかノーという答えが得られませんでした」

 こんなときに英語では「Good try!」(とりあえず頑張ったね!)と声をかけますが、肝心の答えはまだ見つかっていません。そこで、この先生は別の機関にトライしました。

 「次に外務省に電話したら、薬剤の英文証明書があれば『多分』大丈夫と言われましたが、ちょっと不安です。何か情報があれば、ご教示ください」

 これも「Good try」でしたが、外務省の答えが「多分」というのは困りますよね。この答えを頼りに「多分」大丈夫だと思って医療用麻薬を持っていたのに、運悪く「捕まりました!」では、この患者さんが気の毒というもの。すると、海外事情に詳しい先生からはこんなコメントが寄せられました。

 「タイで麻薬所持が見つかると死刑です!」

 医療用麻薬の所持でさえも死刑となるなら、タイに行くのを諦めるのがいいのでしょうか。知恵を寄せ合い、外務省に電話までしても、一方では「多分、大丈夫」、他方では「死刑」。さて薬剤師としては、どのようにこの情報を見つけたらいいと思いますか。

連載の紹介

まいにち薬剤師
保険薬局や医療機関、大学、研究機関、製薬企業、医薬品卸などで働く薬剤師に、日々の業務や日常生活を通じて感じたこと、考えたことを、つれづれなるままに執筆いただくコーナーです。さまざまな薬剤師に、単回もしくは不定期に登場していただき、薬剤師の視点から話題を提供してもらいます。このコーナーへの寄稿を希望される方は、お問い合わせフォームから編集部にご連絡ください。

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