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日本の薬局事情はかなり特殊です

2019/09/13
平井 美津子

 今回はまず、2019年8月に掲載されていた記事(なぜ、薬剤師はOTC薬に興味が持てないのか)を読んで、同業者では言いにくいことを指摘されたなと思ったので、それから書きます。

 セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」とWHO(世界保健機関)で定義されています。しかし、健康な人はまだしも、処方薬を飲んでいるけれど、かぜなどの軽い病気はOTC薬で治そうとする人はたくさんいます。

 私は現在OTC薬を扱っている立場ですが、これまで統合失調症、てんかん、うつ、躁うつ、糖尿病、緑内障や白内障、高血圧、痛風など様々な病気で薬を飲んでいる人や妊婦さんに対応してきました。お薬手帳は個人情報ですが、意外にお客さんはすんなりと手帳を見せてくれるので、信頼はされているのかなと感じます。持病のある人はOTC薬を選ぶのも慎重で、薬剤師のアドバイスを求めているのが現実です。

 お茶や水、お菓子を扱うのは薬剤師の仕事ではないという理由で、ドラッグストアを嫌厭される方もおられますが、今の日本の薬局事情では受け入れざるを得ないことです。それよりも、薬剤師と話をして適切なOTC薬を提案してもらいたいという人のニーズに応えることで、薬剤師の存在意義を示し、信頼の高い職業として認識してもらうことの方が大事なのではないかと思います。

 薬剤師という職業の発祥地である欧州、以前コラムに書いた韓国、マレーシアでは、OTC薬を消費者が直接手に取ることはできず、必ず薬剤師のカウンセリングが必要です。世界的に見れば、処方薬しか扱わない薬局、非薬剤師がOTC薬の責任者を務めるなど、薬剤師の存在意義がはっきりしない日本の薬局事情は、かなり特殊と言えます。

 最近、若い薬剤師の就職先として調剤併設のドラッグストアが人気と聞きます。混沌とした現状の中で、若い世代にOTC薬に積極的に関わってもらって、薬剤師が“手放した感”のあるOTC薬を薬剤師の手に戻してもらいたいと願うのは私だけでしょうか。

連載の紹介

まいにち薬剤師
保険薬局や医療機関、大学、研究機関、製薬企業、医薬品卸などで働く薬剤師に、日々の業務や日常生活を通じて感じたこと、考えたことを、つれづれなるままに執筆いただくコーナーです。さまざまな薬剤師に、単回もしくは不定期に登場していただき、薬剤師の視点から話題を提供してもらいます。このコーナーへの寄稿を希望される方は、お問い合わせフォームから編集部にご連絡ください。

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