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情熱の国スペインで国際旅行医学会に参加≪後編≫

2017/06/21
佐藤 厚

世界遺産であるサグラダファミリア

 前回に引き続き、第15回国際旅行医学会(CISTM15)のリポートです。

 海外の学会に参加すると、時差との闘いはつきものです。しかも今回学会が開催されたスペインは、レストランの多くがディナーの時間帯が20時から24時と、夜遅くまでなかなか眠らない国。

 これに加えて、学会初日のオープニングレセプションと、学会3日目のCISTM設立25周年パーティーは最高潮の盛り上がりでした。日中に強力な睡魔に襲われることもありますが、そんな眠気を吹き飛ばすほど刺激的で勉強になる話が聞けるのもCISTMの醍醐味です。ここでは薬剤師として印象に残った講演を、幾つか紹介します。

1、薬剤耐性菌

 日本政府も最近になってようやく本腰を入れ始めた薬剤耐性菌対策ですが、本学会でも薬剤耐性菌に関する発表が幾つかありました。旅行医学的な視点で、世界を包括的に捉えた傾向と対策、具体的には耐性菌が生じる要因、耐性菌の国別分布、世界保健機関(WHO)による報告、旅行者性下痢の対処方法などについて発表されました。

 アジアでは、特に中国や東南アジア諸国で動物用抗菌薬が耐性菌を生んでいる影響は大きく、ヒトに耐性菌が広がる公衆衛生面での問題が指摘されていました。またインドでは、大腸菌に対する抵抗性が世界で最も高く、その拡大が懸念されています。

 これまで旅行者性下痢の治療は、出発国であらかじめ用意したシプロフロキサシンまたはアジスロマイシンの自己投与が頻繁に行われてきました。しかし、最近では東南アジアはもとより、世界各地でシプロフロキサシンに対する耐性が幅広く認められるようになったため、今後は軽度から中度の旅行者性下痢に対する抗菌薬の使用を控え、重症の場合にのみアジスロマイシンを主な治療薬として使用していく方針が、説明されました。

連載の紹介

まいにち薬剤師
保険薬局や医療機関、大学、研究機関、製薬企業、医薬品卸などで働く薬剤師に、日々の業務や日常生活を通じて感じたこと、考えたことを、つれづれなるままに執筆いただくコーナーです。さまざまな薬剤師に、単回もしくは不定期に登場していただき、薬剤師の視点から話題を提供してもらいます。このコーナーへの寄稿を希望される方は、お問い合わせフォームから編集部にご連絡ください。

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