DI Onlineのロゴ画像

ドクターも電子お薬手帳の導入を望んでいる

2019/06/07
らくすりくん

 先日、STNet(香川県高松市)の電子お薬手帳情報管理サービス「健康の庫」と、NTTドコモ(東京都千代田区)の「電子お薬手帳Link」を統合し、新たに日本薬剤師会の「日薬eお薬手帳」に導入することが発表されました(関連記事:「日薬とSTNet、ドコモが電子お薬手帳を統合へ」)。

 これらのアプリは合計で、1万薬局以上に導入されているため、薬局においては20%近いシェアを獲得することになり、大きなプラットフォームが誕生することになります。

 一方で病院、診療所でお薬手帳アプリを導入している施設は、数えるほどしかありません。薬局で導入が進んでいるのに、医療機関で進んでいない最も大きな理由は導入コストでしょう。現在では、ほとんどの薬局向けレセコンにはJAHIS仕様にのっとった出力機能が付加されていますが、医療機関で出力機能を構築しようとすると大きな出費になります。では医療機関では、お薬手帳アプリを活用するニーズはないのでしょうか。

 以前このコラムで、病棟薬剤業務で最も手間の掛かっているものに入院時の持参薬の鑑別があると書きました(関連記事:「病棟業務の加算がもたらしたもの」)。患者が入院してきた時点で何の薬を服用しているかを把握する業務です。手間が掛かる原因の1つに、患者個人の薬歴が電子データとして医療施設間で共有されていないという現実があります。

 そこでお薬手帳を活用することになるのですが、紙に書かれた内容を病院の電子カルテに入力し直すことは手間も掛かりますし、ミスの元にもなります。また地域で活用されている情報連携ツールはそれぞれ方式が異なっていて、統一への議論がなされていますが、まだ結論は出ていないようです。

 こうした中、電子お薬手帳は早くから仕様がJAHISにより統一されており、日本薬剤師会も力を入れて普及活動を行ってきたことから、全国の薬局で導入されています。またe薬Linkに参加しているベンダーのアプリは、他のアプリに登録されている薬歴も医療機関のパソコン上で確認することができるため、医療提供者側にとって利便性が高いものになっています。

 実際に当院の医師も、診察時にはお薬手帳から他院の処方状況を確認してから処方を行っていますが、先ほど挙げた入力の手間やミスという問題が起こり得ます。そこで、院内パソコンで電子お薬手帳の管理画面から、患者の他院での薬歴を確認できれば便利ですし、カルテにコピペすることで誤登録を防ぐこともできるので、お薬手帳アプリの導入を強く望んでいます。

著者プロフィール

らくすりくん(ペンネーム)◎倉敷中央病院(岡山県倉敷市)薬剤部のベテラン薬剤師。

連載の紹介

こちら倉敷中央病院薬剤部です!
病床数1166床の急性期病院、倉敷中央病院に勤務する薬剤師が、イマドキの病院薬剤師の業務、その思いについて語ります。

この記事を読んでいる人におすすめ