しばしば「コンビニより数が多い」と比較され、揶揄(やゆ)される薬局。個人的には「コンビニより多いですが、それが何か?」くらいにしか思っていませんが、あまりいい気持ちがする話ではありません。今回は、その比較の意味するところについて考えてみたいと思います。
まず、それぞれの歴史を振り返ってみましょう。日本初の薬局は、1872年(明治5年)に東京の銀座に創業された資生堂薬局だとされています。一方のコンビニは(当時はコンビニの定義がはっきりしなかったため諸説ありますが)、1971年に愛知県春日井市にオープンしたココストアが1号店と言われています。ざっくりですが、薬局の歴史が150年、コンビニのそれが50年と考えますと、薬局はコンビニよりも昔から存在しているものです。
それぞれ店舗数の推移を、日本フランチャイズチェーン協会が発表しているコンビニ数と、厚生労働省が公表している医療施設動態調査から調べてみました(下図)。これを見ると、薬局の数がコンビニの数を下回ったことはなく、2017年度時点では、薬局が5万9138店舗に対して、コンビニが5万7956店舗と肉薄しています。いずれにせよ、「薬局がコンビニより多い」という事実はここ30年近く変わっておらず、改めて問題にされるようなことだとは考えられません。

出所:フランチャイズチェーン統計調査(日本フランチャイズチェーン協会)、医療施設動態調査(厚生労働省)