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「正しい記録」はトラブル防止の役に立つか

2018/05/18
熊谷 信

 皆さん、「ドラレコ」ってご存知でしょうか。車を運転する方ならピンとくるかもしれません。正確には「ドライブレコーダー」と呼ばれ、車に取り付けて走行中や停車中の映像や音声を記録しておくものです。

 このドラレコ、最近は非常に売れているそうです(かくいう私も、自分の車に付けています)。調査会社のGfkジャパンによると、2017年のドラレコ販売台数は前年比38%増の109万台に達したとのことです。

 ドラレコが売れる背景には、事故や交通トラブルの際の確実な証拠を残したいというニーズがあるからでしょう。トラブルに遭っても、その際の映像があれば客観的な状況を証明できます。つまり万が一の際に、「自分は悪くない」と説明してくれる「証人」としての役割を期待しているわけですね。

 世の中に目を転じてみますと、こうした役割は何もドラレコだけではありません。お店などに入れば防犯カメラがいくつも設置されています。また郵便物や宅配便には追跡番号が付けられ、企業のコールセンターに電話をすれば「お客様との通話品質向上のために、通話を録音させていただきます」とアナウンスが流れます。

 企業も個人も、自己防衛のために多くの記録を残すようになってきています。これは、デバイスやツールの発達によって、以前よりも簡単に記録を残せるようになったことと無縁ではありません。事実、スマートフォン向けには、ボイスレコーダーの機能がアプリとして提供されています。誰でも簡単に、胸ポケットに忍ばせたスマートフォンで周囲の状況を記録できる時代になっているのです。

 薬局においては、調剤鑑査システムが既に多くの薬局で導入されています。このシステムがさらに進化すれば、窓口での患者さんとのやり取りも録画・録音するのが“当たり前”になる日も近いように思います(既に導入している薬局もあることでしょう)。表向きは「服薬指導の質の向上のため」ということになるのでしょうが、実際の目的は患者さんとのトラブル防止を見据えたものでしょう。

 私見ですが、こうした流れは今後ますます強くなると考えています。では、こうした「記録社会」の行く先には何があるのでしょうか。

著者プロフィール

熊谷信(薬剤師・ブロガー)
くまがい しん氏 信州大学経済学部を卒業後、自動車ディーラーの職に就くが、「自分で薬局を開きたい」との思いから、社会人入試を経て東邦大学薬学部へ入学。卒業後、くまがい薬局を開局したが、3年4カ月で廃業し、勤務薬剤師に。2014年4月、長野県諏訪市にららくま薬局を開局。

連載の紹介

熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」
ららくま薬局(長野県諏訪市)を開設し患者と向き合っている熊谷氏が、日々の業務やニュースから感じ取ったことを現場目線で書きつづります。本人のブログ「薬局のオモテとウラ」も好評連載中です。

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