
線維筋痛症は、全身に激しい痛みが生じる疾患です。筋肉、関節などに疼痛が生じ、痛みが体幹、四肢など全身に広がります。男性よりも女性に多く見られます。以前は非関節性リウマチ、心因性リウマチなどと呼ばれていました。
全身の慢性疼痛に加えて、疲労倦怠感、手指などのこわばりや腫脹、四肢のしびれ、ふるえ、微熱、睡眠障害、うつ状態などの症状も見られます。脳の機能障害が原因とも考えられていますが、明らかな原因は不明であり、血液検査やCT、MRIなど、一般的な検査をしても異常は見付からないようです。
西洋医学での治療には、プレガバリン(商品名リリカ他)などの神経障害性疼痛治療薬、抗てんかん薬や、デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ他)などの抗うつ薬、オピオイドなどが使われます。散歩や体操、ヨガ、有酸素運動、ストレッチなどの運動療法も行われます。痛みで眠れない場合は睡眠導入薬が使われることもあります。一般的な非ステロイド抗消炎薬(NSAIDs)などは効果が認められないケースがあります。
漢方では、痛みは気・血(けつ)・津液(しんえき)など人体の構成成分の「流れ」や「量」と深い関係にあると捉えています。気は生命エネルギーに近い概念、血は全身を滋養する血液や栄養、津液は体内の水液を指します。