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口渇(ドライマウス)に効く漢方(1)
口渇の考え方と漢方処方

2020/10/02

 口渇ドライマウス)は、唾液の分泌量が減り、口の中が渇いて乾燥している状態です。口の中が粘ついたり、口臭が気になったりします。深酒をした翌日や、仕事で緊張したときなどにも生じますが、そのように原因が明らかで一時的な口渇なら心配ありません。

 唾液は、口や顎の周りにある唾液腺から分泌されます。加齢などにより口周囲の筋力が低下するなど、様々な原因によって、分泌される唾液の量は減少します。女性の更年期に女性ホルモンが減った場合も、分泌腺の機能が低下して唾液が減ります。若い世代でも、ストレスや緊張で交感神経の働きが高まると、唾液の分泌が減ります。糖尿病や、シェーグレン症候群、あるいは薬の副作用で口渇が生じることもよくあります。

 口渇は、不快なだけでなく、放置すると唾液が持つ抗菌作用が低下するため、歯周病や虫歯の原因になります。かぜやインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。口渇により食べ物が飲み込みにくくなると、高齢者では誤嚥性肺炎の原因にもなります。

 口渇(ドライマウス)の予防には、よくかんで食べる習慣を身につける、唾液腺マッサージをする、などの方法があるようです。

 漢方では、口渇は津液(しんえき)と関係が深い症状と捉えています。津液とは、人体にとって必要な正常な水液のことで、臓腑を滋養したり、皮膚や粘膜に適度な潤いを与えたり、関節の動きを潤滑にしたり、体温を調節したりする、人体にとって重要な構成成分です。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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