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鼻炎に効く漢方(1)
鼻炎の考え方と漢方処方

2014/03/03

 鼻炎の根本原因はアレルギー体質にあります。漢方では、そのアレルギー体質そのものを漢方薬で改善し、鼻炎を改善していきます。

 ハウスダストやダニ、動物の毛など、鼻炎症状を引き起こすアレルゲンは、身の回りにたくさんあります。温度変化で鼻水が出たり鼻がつまったりする人も少なくありません。

 中医学では、それらを病気の「引き金」ととらえ、病気の「根本原因」とは区別して考えています。

 鼻炎の根本原因は、体質にあります。アレルギー体質です。このアレルギー体質を改善し、鼻炎を根本的に改善していくのが、中医学のやり方です。他の疾患同様、ひとりひとりの証(しょう)にしたがって、処方を決めていきます。

 鼻炎の根本原因であるアレルギー体質は、主に、水液の代謝と関係が深い五臓の「肺」や「腎」、それに気血の流れと関連が強い「肝(かん)」の機能を調えることにより、改善していきます。

 鼻炎の証には、以下のようなものがあります。

 一つ目は「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証です。五臓の肝は、自律神経系や情緒の安定、気血の流れと関係が深く、ストレスや緊張で機能が乱れます。その結果、気の流れが悪くなり、体液の流れが鼻で滞り、鼻水や鼻づまりが生じます。気の流れが活発になる春や秋、一日のなかでは朝に、症状が強く表れます。肝気の流れを改善し、ストレス抵抗性を高める漢方薬でアレルギー体質を改善し、鼻炎を治していきます。

 二つ目は「肺熱(はいねつ)」証です。肺は五臓の一つで、呼吸・水分代謝・体温調節などの機能を指します。その肺に熱がたまっているため、鼻づまりや鼻水が発生します。副鼻腔炎にみられやすい証です。肺熱を除去する漢方薬でアレルギー体質を改善し、鼻炎を治します。

 三つ目は「痰飲(たんいん)」証です。痰飲とは、体内に停滞する異常な水液や物質のことです。鼻で痰飲が増える結果、鼻水や鼻づまりが生じます。痰飲を除去する漢方薬でアレルギー体質を改善します。

 四つ目は「腎陽虚(じんようきょ)」証です。成長・発育・生殖ならびに水液をつかさどる五臓の腎の機能が低下することにより、水液が停滞し、鼻水が出ます。身体を温めて腎機能を強める漢方薬を使い、鼻炎を治療します。

 五つ目は「腎陰虚(じんいんきょ)」証です。成長・発育・生殖ならびに水液をつかさどる五臓の腎において陰液が不足している体質です。陰液とは、人体の構成成分のうち、血(けつ)・津液(しんえき)・精を指します。腎陰の不足により、鼻が潤わず、鼻づまりになります。腎陰を補う漢方薬でアレルギー体質を改善していきます。

 六つ目は「血瘀(けつお)」証です。血流が鬱滞しやすい体質です。鼻腔内で血行がわるい状態となると、鼻腔内の粘膜でうっ血が生じ、鼻がつまってしまいます。血行を促進し、うっ血を取り除く漢方薬が有効です。

■症例1

「鼻がつまります。額のあたりが重く感じます。病院で副鼻腔炎といわれました」

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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