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冷え症に効く漢方(1)
冷え症の考え方と漢方処方

2012/12/11

竜眼肉(りゅうがんにく)
ムクロジ科の常緑小高木リュウガンEuphoria longan の果肉。
不眠、健忘、疲労倦怠感、食欲不振などに効果があります。
一般に6~12gを煎じて服用します。
生食してもおいしい果実。

 冷えは万病のもと。冷え症は、体が冷えること自体が不快だったり辛かったりするだけでなく、冷えが原因となって引き起こされる病気も多いため、改善しておきたい症候です。

 肩こりや腰痛だけでなく、頭痛、神経痛、腹痛、下痢なども冷え症と関係が深い病気です。さらに花粉症などのアレルギー疾患、膀胱炎、頻尿、生理痛や生理不順、不妊症なども、冷えが関与している場合がよくみられます。また冷え症は、免疫力低下の引き金にもなります。

 西洋医学では病気として捉えられていませんが、漢方では冷え症は看過することのできない重要なものとして考えています。

 冷え症体質には、大きく三つのタイプがあります。

 (1)熱をつくる機能が弱い体質
 (2)熱を体の隅々に運ぶ機能が弱い体質
 (3)熱を蓄えておく機能が弱い体質

 漢方では、これらの体質を改善していくことにより、冷え症を治していきます。証(しょう)でみると、以下のようになります。

 一つ目は「脾胃陽虚(ひいようきょ)」証です。上の「(1)熱をつくる機能が弱い体質」です。五臓六腑の脾胃つまり胃腸の機能が弱いため、飲食物を消化吸収して熱に変える力が弱くなっています。胃腸の機能を高める漢方薬で、冷え症体質を改善します。

 二つ目は「血虚(けっきょ)」証です。上の「(2)熱を体の隅々に運ぶ機能が弱い体質」の一つです。体内を循環する血液量が少ないため、ちょっと寒くなるだけで血行が滞り、体温が行き渡らなくなり、冷え症になります。この場合は血を補う漢方薬を使います。

 三つ目は「血瘀(けつお)」証です。これも「(2)熱を体の隅々に運ぶ機能が弱い体質」の一つです。血液の流れが悪い体質であるため、体温がスムーズに運ばれません。血流をさらさらにする漢方薬で冷え症体質を改善します。

 四つ目は「気滞(きたい)」証です。これも「(2)熱を体の隅々に運ぶ機能が弱い体質」の一つです。血液循環をサポートする気の推動作用がスムーズでないために、体が冷えています。ストレスや緊張が関与している場合が多く、ストレスなどを緩めて気の流れを調整する漢方薬を用います。

 五つ目は「腎虚(じんきょ)」証です。これは「(3)熱を蓄えておく機能が弱い体質」に相当します。腎は五臓の一つで、生きるために必要なエネルギーや栄養を貯蔵しているところです。その腎が弱いため、冷え症体質になっています。漢方薬で腎を補い、冷え症を治します。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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