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頭痛に効く漢方(1)
頭痛の考え方と漢方処方

2012/11/13

肉桂 (にっけい)
クスノキ科の常緑高木ケイCinnamomum cassia の樹皮。
体を温め血行を促進します。倦怠感にも用いられます。
一般に1~3gを煎じて、または0.5~2.5gを粉で服用します。

 頭痛は、ごくありふれた症状です。かぜをひいたとき、寝不足のとき、二日酔いの朝、ずっとパソコンを見ていた後、生理のとき、温度変化の影響を受けたときなど、頭が痛くなったり、重くなったり、締め付けられるように感じたり、張るように痛んだりします。

 一時的なものなら、体を休めたり、目や胃をいたわったりしてやり過ごすこともできますが、これが慢性的になったり、繰り返し発生したりするようなら、根本的に頭痛体質そのものから改善するのがいいでしょう。

 西洋医学的には、解熱鎮痛薬や抗炎症薬が使われます。緊張型頭痛には抗不安薬や筋弛緩薬、片頭痛にはトリプタン系製剤、群発頭痛には純酸素吸入、三叉神経痛などによる頭痛には抗てんかん薬も使用されます。

 漢方では、患者一人ひとりの証に合わせ、気血の量や流れを調えたり、内風を抑えたりして、頭痛体質を改善していきます。内風とは風邪(ふうじゃ)の一つです。風邪は、自然界の風のように、発病や病態の変化が急であったり、めまいのように揺れ動く症状があらわれたりする病邪。その原因が体内にある場合、その風邪を内風と呼びます。

 頭痛の証には、以下のようなものがあります。

 一つ目は「肝陽頭痛」です。ストレスなどの影響で肝気の流れが乱れ、肝陽が上昇する体質です。肝陽が頭部まで達し、頭痛を発生させます。肝陽を鎮める漢方薬で頭痛体質の改善をします。

 二つ目は「腎虚頭痛」です。脳をつかさどる五臓の腎の機能が衰えている体質のため、頭痛が生じます。過労や老化によって生じやすく、頭がしくしく痛みます。疲れると痛みが悪化します。腎を補う漢方薬を使用します。

 三つ目は「血虚頭痛」です。血分が不足している血虚体質です。血の滋潤作用が弱いために虚火が逆上し、頭痛を発生させています。ふらつきをともないやすい頭痛です。漢方薬で血を補い、虚火を冷まして頭痛を解消させます。

 四つ目は「痰濁頭痛」です。痰とは、体液が停滞して生じた異常な水液のこと。気管から出る痰とは違います。これが内風とともに体内を上昇して頭痛となっています。痰を排除する漢方薬で、頭痛体質を改善します。

 五つ目は「瘀血(おけつ)頭痛」です。血液の流れが悪い血瘀体質であるため、頭痛が生じます。きりのようなとがったもので刺されたような痛み方をします。夜になると発生しやすい頭痛です。漢方薬で瘀血を取り除き、頭痛を解消させていきます。

 以上は、慢性頭痛、あるいは繰り返し反復する頭痛によくみられる証です。体質的な要因と深く関係があり、「内傷頭痛」と呼ばれます。内傷頭痛以外には、かぜをはじめとする感染症による頭痛があり、こちらは「外感頭痛」といわれます。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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