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便秘に効く漢方(1)
便秘の考え方と漢方処方

2012/10/09

山査子(さんざし)
バラ科の落葉低木サンザシCrataegus cuneata などの成熟果実。健胃消化作用があり、消化不良や下痢に用いられます。一般に6~12gを煎じて服用します。

 排便は、すっきり出るのが理想です。回数は1日1回くらいが普通ですが、人によって、1日2回でも2日に1回でも、すっきりとバナナ状の便が出ていれば合格です。

 便秘にも様々なタイプがあります。下剤を飲まないと、あるいは浣腸をしないと何日経っても便が出ない頑固な便秘もあれば、下剤は必要ないけれど2、3日は便秘の日が続く、便がコロコロとウサギの糞のようになる、1日排便がなければ下腹が張って不快になる、排便は毎日あるが残便感がある、便が硬くなり排便が辛い、排便に時間がかかる、便が細く少量しか出ない、といった症状も便秘といえるでしょう。

 西洋医学的には下剤を使うのが一般的ですが、漢方では、漢方薬を使って便秘体質そのものを改善していきます。必要に応じて下剤を併用することもありますが、便秘体質が改善されるにしたがって下剤の量や強さ、使用頻度を減らしていきます。下剤を使わずとも自然な排便ができるようになれば、便秘体質の改善完了です。

 便秘の証(しょう)には、以下のようなものがあります。

 一つ目は「熱秘(ねつひ)」証です。熱がこもりやすい体質で、消化器系に熱邪が停滞すると水分が消耗されて便が硬くなり、便秘になります。漢方薬で過剰な熱を除去し、便秘体質の改善を図ります。

 二つ目は「気秘(きひ)」証です。気の流れがよくない体質で、そのために消化器官の蠕動、輸送機能がスムーズでなくなり、便秘になります。気の流れを伸びやかにする漢方薬を使い、便秘体質を改善していきます。

 三つ目は「虚秘(きょひ)」証です。気虚で下腹に力が入らず排便できない証と、血虚で大腸が潤わず便が硬くなる証とがあります。漢方薬で気血を補い、便秘を緩和します。

 四つ目は「冷秘(れいひ)」証です。冷えが原因で腸の機能が低下し、排便が困難になっています。漢方薬で体を温め、通便を促します。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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