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「イライラ」に効く漢方(1)
「イライラ」の考え方と漢方処方

2012/06/15

生姜(しょうきょう)
ショウガ科の多年草ショウガZingiber officinale の根茎。発汗作用や健胃作用があります。消化機能を高めます。一般に3~9グラムを煎じて服用します。

 イライラすることは、誰にでもあります。自分の思いどおりに事が運ばないときや、ちょっとしたストレスを感じたときに、イライラすることは、別に病気でも何でもありません。

 しかし、できればイライラしないで過ごしたいものです。イライラばかりしていては、気分が落ち着かず、楽しくありません。じっとしていられなくて、仕事や趣味に集中できません。眠れなくなったり、自己嫌悪に陥ったりすることもあるでしょう。

 イライラの原因は、ストレスだけではありません。同じようなストレスがかかっても、すぐイライラする人もいれば、ぜんぜんイライラしない人もいます。また、生理前や更年期でイライラしてしまう、疲れているのでちょっとしたことでイライラする、などということもあります。ストレスの強弱だけでなく、体質的な要因で、イライラしやすかったり、あまりイライラしなかったりします。

 漢方では、イライラは熱邪の仕業と捉えています。心神が火熱によってかき乱されると、イライラが生じます。

 イライラの証(しょう)には、以下のようなものがあります。

 一つ目は「心火(しんか)」証です。心神をつかさどる五臓の「心(しん)」が燃えさかっている状態です。じっとしていられず、あせりを感じ、落ち着きません。心火を冷ます漢方薬でイライラを鎮めます。

 二つ目は「肝火(かんか)」証です。情緒や自律神経系をつかさどる五臓の「肝(かん)」に過剰な熱がこもっています。怒りっぽい、すぐかーっとなる、ヒステリー、といった症状がみられます。漢方薬で肝にこもる火邪をさばきます。

 三つ目は「肝鬱」証です。五臓の「肝」の気の流れが鬱滞しているため、小さな刺激に対しても敏感になっており、イライラしやすくなっています。肝気の鬱結を和らげる漢方薬で、イライラしやすい体質を改善していきます。

 四つ目は「陰虚火旺」証です。火熱を冷ますのに必要な陰液が不足している体質です。ふつうならイライラしない些細なことにも反応しやすくなっており、いら立ちます。漢方薬で陰液を補います。

 心火と肝火は、イライラの種がどんと大きくのしかかったときや、いくつかのイライラの種が積み重なって大きくなったときにみられやすい証です。肝鬱と陰虚火旺は、ちょっとしたことに対しても慢性的にすぐイライラしやすいタイプの証です。

 以上の証のほかに、体内の過剰な水液が熱をもった「痰熱(たんねつ)」証、肝の陰液が不足して肝の機能が失調して内風が生じる「肝陽化風(かんようかふう)」証なども、よくみられます。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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