DI Onlineのロゴ画像

痩せすぎに効く漢方(1)
痩せすぎ(低体重)の考え方と漢方処方

2012/04/12

陳皮 (ちんぴ)
ミカン科のウンシュウミカンCitrus unshiu などの果皮。
気のめぐりを整えます。消化不良や、痰の多い咳に使われます。
一般に3~9 gを煎じて服用します。七味唐辛子にも配合されています。

 体重に関する悩みといえば、太りすぎやダイエット、肥満が取り上げられることが多いようですが、痩せすぎや低体重で悩む人も少なくありません。体重を増やして体力をつけたいのに、いくら食べても太れない、小さい頃からからだが弱いほうで、すぐかぜをひいたり、おなかをこわしたりする、など、悩みはさまざまです。

 美容上のことで悩んでいる人もいます。貧弱にみえる、水着や洋服が似合わないなど、痩せすぎのからだにコンプレックスを感じている人も少なくありません。

 体重が少なすぎると、体力がない、抵抗力がない、疲れやすい、免疫力が弱く感染症など病気にかかりやすいなどのほかに、不妊、冷え症、生理不順、無月経、栄養失調、骨密度の低下、うつ病などの疾患との関連も気になります。

 漢方では、からだ全体の機能を調えることにより、痩せすぎを解消し、標準的な体重に近づけます。健康的にきれいに太るのが目標です。ぜい肉や内臓脂肪で体重を増やすのでありません。癌や、甲状腺などホルモン内分泌系の疾患、摂食障害などで痩せてしまう場合もありますが、こういう場合は、これらの疾患の治療を並行して進めます。

 痩せすぎの証(しょう)には、主に以下のようなものがあると漢方では考えています。

 一つ目は「脾気虚(ひききょ)」証です。五臓の「脾」の機能が低下している体質です。消化吸収機能が衰えているために、食べたものがしっかりと血となり肉となってくれません。この証の人に対しては、脾の機能を高める漢方薬を使います。

 二つ目は「腎陰虚(じんいんきょ)」証です。人体を構成する物質的な面を意味する陰液が不足している体質です。ホルモン内分泌系や自律神経系がバランスを崩し、基礎代謝量が多い体質になっています。腎陰を補う漢方薬で体質を改善していきます。

 三つ目は「中気下陥(ちゅうきかかん)」証です。胃下垂で太れないタイプです。臓器を定位置にとどめておく「気」の作用(固摂作用といいます)が弱く、筋肉の緊張が低下しています。必要な気を補う漢方薬が効果的です。

 以上の証のほかに、食が細くてたくさん食べられない「胃気虚(いききょ)」、ストレス、緊張、不安が根本にあって食欲不振や消化吸収機能の低下が生じている「肝気横逆(かんきおうぎゃく)」などの証もあります。

 まずはよくみられる「脾気虚」証からみていきましょう。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

この記事を読んでいる人におすすめ