
海馬 (かいば)
ヨウジウオ科のウミウマ属の魚、いわゆるタツノオトシゴ、
オオウミウマHippocampus kelloggi などの全体。
疲労回復、勢力減退、老化予防などに用いられます。
一般に5~12グラムを煎じて服用します。
薬膳料理にも使われます。
口内炎は、口の中や舌の表面にできる炎症やびらん(粘膜のただれ)、潰瘍のことです。初めのうちは少し硬くふくらんでいる程度でも、悪化すると痛みを伴うようになり、出血する場合もあります。あやまって食事のときにかんでしまい、涙が出るほどの痛みに襲われた経験のある人や、食べ物がしみて痛み、ろくに食事ができなかった体験のある人は少なくないでしょう。
一般には抗炎症作用のある軟膏や貼り薬で炎症を鎮めていきますが、口内炎が口腔内に多発しているときや、繰り返し口内炎が生じてしまう場合は、口内炎ができやすい体質そのものを漢方薬で改善するのがいいでしょう。
漢方では、口内炎は体内の過剰な熱が病邪となって口腔内を刺激して生じるものととらえています。「脾は口に開竅(かいきょう)する」「心(しん)は舌に開竅する」「脾の華(はな)は唇にある」などと言われるとおり、口内炎ができやすい部位は体内の五臓六腑と深く関わりがあり、さまざまな体質や体調が反映されて生じます。
口内炎になりやすい証(しょう)には、以下のようなものがあります。
一つ目は「胃熱」証です。暴飲暴食、とくに刺激物や味の濃いもの、脂っこいものばかりを食べていると、それらが原因で熱邪が生じ、口内炎ができてしまいます。この証の人に対しては、胃熱を冷ます漢方薬で口内炎を治します。
二つ目は「肝火(かんか)」証です。肝(かん)は五臓六腑の一つで、からだの諸機能や精神情緒の調整をする機能です。この肝の機能がストレスや激しい感情の起伏などで失調すると熱邪が生じ、口の中に炎症が生じます。漢方薬で肝火を鎮めて口内炎を治していきます。
三つ目は「陰虚」証です。胃熱や肝火が長引くと、次第に体液などの陰液が消耗され、この証になります。陰液が少ない体質なので相対的に熱が余ることになり、それが熱邪となって口内炎を引き起こします。体液を補う漢方で口内炎ができやすい体質を改善します。
四つ目は「気虚」証です。生命エネルギーを意味する「気」が、過労や体調不良の影響で不足すると、この証になります。気が不足すると熱のコントロールがスムーズにできなくなり、口内炎ができやすくなるのです。元気を補う漢方薬が有効です。
これらの証以外にも、二つ目の肝火と似ていますが、思い悩み過ぎや考え過ぎにより生じる「心火(しんか)」という証も、口内炎を引き起こしやすいもののひとつです。
原因がわかりやすい「胃熱」証の症例からみていきましょう。