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インフルエンザに効く漢方(1)
インフルエンザに麻黄湯は万能か?

2010/12/14

小分けした生薬は小袋に入れ、煎じやすくします。
(写真:室川イサオ)

 ご存知の通り、インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。一般のかぜと違い、症状が重く、重症化すると命に関わることもあるので注意が必要です。昨シーズンは新型インフルエンザが広まり、多くの感染者を出しましたが、さて、今シーズンはどうなるでしょうか。

 インフルエンザも一般のかぜと同様、ウイルスによる感染症ですが、症状や危険性に違いがあるために区別されます。一般のかぜは、ライノウイルスやコロナウイルスなどが原因だといわれています。病原体が異なるので症状に違いが出ます。

 一般のかぜの場合は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、のどの痛み、37〜38℃程度の発熱などが、おもな症状です。一方、インフルエンザの場合は、38℃以上の高熱、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛などの強い全身症状が出ます。高熱が続くと、子どもはインフルエンザ脳症を、大人は肺炎などの二次感染や心不全を引き起こすことがあり、危険です。

 インフルエンザは、くしゃみや咳による飛沫感染や、手すりやつり革などを介した接触感染によって広がりやすい病気です。インフルエンザが流行する時期、とくに人ごみに出たあとは、うがいや手洗いなどを忘れないようにするのは、感染を予防する基本中の基本です。

 インフルエンザ対策としては、まずこのようなインフルエンザウイルスの体内への侵入を防ぐことから始まり、自分の免疫力を高めておくこと、そしてインフルエンザにかかった場合は症状の悪化を防ぎ、早急に治療することです。漢方薬は、おもに免疫力を高めることに力を発揮します。また最近話題の麻黄湯(まおうとう)のように、早急な治療に役立てることもできます。

 漢方薬は、インフルエンザウイルスに対してはこの処方、ライノウイルスに対してはこの処方、とウイルス別に処方があるわけではありません。ほかの病気と同じように、患者さんの病状や体質、つまり「証(しょう)」に合わせて処方します。したがって、患者さんが現時点でインフルエンザのどの段階で、どういう症状が出ているのか、患者さんの体力はどうか、などにより、何を処方するかが決まります。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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