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疲れに効く漢方処方(1)
“気”の不足による慢性疲労に「四君子湯」

2010/10/04

漢方薬処方で使用する生薬は色とりどりで目にも鮮やか
(写真:室川イサオ)

 こんにちは。幸井俊高です。私はカウンセリングに重点を置き、患者さんに合った漢方薬の処方を選ぶ漢方薬局の薬剤師をしています。コラム「漢方薬 de コンシェルジュ」では、患者さんの訴えや症状から、患者さんの状態を分析し、対処する(改善させる)のに適した漢方処方を解説していきます。

 今年の夏は、厳しい暑さが続いた記録的な猛暑でした。その影響で、秋になっても夏の疲れを引きずって、バテ気味の方も多いのではないでしょうか。このような、体に根深くしみついた疲労倦怠感を解消するのに、漢方薬は有効です。

 一時的な疲れ、たとえば運動会のあとや徹夜の翌日などなら、栄養を補給し、睡眠をたっぷり取れば回復します。しかし、いくら寝ても疲れが取れない、栄養補給しようにも胃腸も弱っていて食欲がない、だるさが続く、集中力に欠ける、微熱が出る、などの症状が出てくるようでは、根本的な対策が必要になります。

 西洋医学では、疲れへの対処法は、肉体疲労時の栄養補給としてビタミン剤などの内服薬や点滴が主流です。しかし漢方では、一人ひとりの体質や疲れのタイプによって処方を使い分け、疲れの根本的な治療を目指します。

 慢性的に長引く疲労倦怠感を、私は車のエンジン不調に例えて患者さんに説明しています。車の走りがわるくなったとき、原因として考えられるのは、単純なガソリン不足をはじめ、エンジンそのものの劣化や、潤滑油の質の低下などがあります。これらの対策としてガソリンを補給するのが、ビタミン剤や点滴による栄養補給です。それに対し、潤滑油を交換したり、エンジンの点検をして部品の交換や清掃をしたりするのが漢方薬に当たります。

 ビタミン剤などの投与は、あくまでも栄養補給に過ぎません。それを何度繰り返しても、体質そのものが強化されるとは考えにくいことです。しかし、一時的に疲れをとらなければならない場合がありますから、西洋薬と漢方薬を上手に使い分けると良いでしょう。例えば、ドリンク剤を飲んでも一時的にしか元気にならない、ビタミン剤を毎日のように飲むのが習慣になっている、疲れると病院で点滴を打ってもらうことにしている――という人に、漢方薬をお薦めしてみると喜ばれるかもしれません。

 それでは、私が実際に経験した症例を紹介しながら、どのような漢方薬を選べばよいかを解説していきます。

著者プロフィール

幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)
こういとしたか氏。東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。1998年、中国政府より中医師の認定を受け、日本人として18人目の中医師となる。2006年に「薬石花房 幸福薬局」を開局。『漢方でアレルギー体質を改善する』(講談社)『男のための漢方』(文春新書)など著書多数。

連載の紹介

幸井俊高の「漢方薬 de コンシェルジュ」
東京の老舗高級ホテル「帝国ホテル」内で、完全予約制の漢方薬局を営む幸井氏。入念なカウンセリングを行い、患者一人ひとりに最適な漢方薬を選んでくれる薬局として、好評を博している。これまで多くの患者と接してきた筆者が、疾患・症状ごとに症例を挙げて、漢方薬の選び方と使い分けについて解説する。

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