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胃癌の術前患者の処方調整、正しいものは?

2021/04/30

 前回まで対応していたYさんの症状が一段落ついたところに、次の患者さん、Sさん(60歳、男性)が入院してきました。以前入院していた社会人ラグビ―部のゼネラルマネージャー(GM)のO.Y.さんが、Sさんに付き添って外来から病棟へやって来ました。常にラクビ―チームを応援し、守ってくれている上司のSさんが、体調不良で入院することになったとのことでした。

薬剤師:「O.Y.さん、その後はどうですか?」

O.Y.:「私は順調です。除菌もできました。今回は上司のSさんをよろしくお願いします」

入院時のSさんの情報です。

身長176cm、体重60kg(健常時は、ほぼ理想体重だった)、体温38.0℃、血圧150/95mmHg。上腹部の痛み、食欲不振、倦怠感、悪心・嘔吐などの症状を訴えている。食欲不振は長く続いていて食べられるものを食べていたとのことであった。

【血液検査結果】
赤血球数:500万/μL、白血球数:6800/μL、AST:30 U/L、ALT:40 U/L、ALP:300 U/L、γ-GTP:60 U/L、総ビリルビン(T-Bil):1.3mg/dL、アルブミン:3.8g/dL、ヘモグロビン(Hb):12.8g/dL、コリンエステラーゼ:220 U/L、尿素窒素(BUN):16 mg/dL、血清クレアチニン(SCr):0.9 mg/dL、総コレステロール(T-Chol):140 mg/dL、中性脂肪(TG):100 mg/dL

【既往歴】
一過性脳虚血発作、高血圧、脂質異常症

【服用薬】
アムロジピンベシル酸塩(商品名アムロジン、ノルバスク他)5mg/日、アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール他)5mg/日、クロピドグレル硫酸塩(プラビックス他)75mg/日、レバミピド(ムコスタ他)300mg/日

 検査の結果、Sさんは胃癌と診断され、手術が決まりました。手術まで中心静脈より栄養補給することとなり、以下の処方がなされました。Sさんの治療に薬剤師としてしっかり対応していきましょう。

【処方】
高カロリー輸液キット製剤800mL  1日2回 12時間ごと
 
*高カロリー輸液キット製剤800mL中の主な成分
ブドウ糖22.5%、アミノ酸30g、総合ビタミン、微量元素、Na+50mEq、Cl50mEq、K+25mEq、Mg2+6mEq、Ca2+8mEq

著者プロフィール

伊東明彦(明治薬科大学特任客員教授)いとう あきひこ氏 1978年星薬科大学卒業。東京女子医科大学病院薬剤部を経て、2005年に明治薬科大学薬学部 薬学科教授、2019年4月より現職。薬学教育協議会の専務理事・業務執行理事、病院・薬局実務実習関東地区調整機構事務局長を務める。

連載の紹介

伊東明彦の「解けるか?薬学生!」
明治薬科大学で卒業試験の問題をつくっていた伊東氏。ときに難題を出題して薬学生を悩ませていたが、その心には「薬剤師国家試験をパスするだけでなく、将来、薬剤師として現場で困らないようにしてあげたい」という願いがあった。同様に、本コラムでの出題を通して、全国の薬学生にエールを送る。

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