
前回まで対応していたYさんの症状が一段落ついたところに、次の患者さん、Sさん(60歳、男性)が入院してきました。以前入院していた社会人ラグビ―部のゼネラルマネージャー(GM)のO.Y.さんが、Sさんに付き添って外来から病棟へやって来ました。常にラクビ―チームを応援し、守ってくれている上司のSさんが、体調不良で入院することになったとのことでした。
薬剤師:「O.Y.さん、その後はどうですか?」
O.Y.:「私は順調です。除菌もできました。今回は上司のSさんをよろしくお願いします」
入院時のSさんの情報です。
身長176cm、体重60kg(健常時は、ほぼ理想体重だった)、体温38.0℃、血圧150/95mmHg。上腹部の痛み、食欲不振、倦怠感、悪心・嘔吐などの症状を訴えている。食欲不振は長く続いていて食べられるものを食べていたとのことであった。
【血液検査結果】
赤血球数:500万/μL、白血球数:6800/μL、AST:30 U/L、ALT:40 U/L、ALP:300 U/L、γ-GTP:60 U/L、総ビリルビン(T-Bil):1.3mg/dL、アルブミン:3.8g/dL、ヘモグロビン(Hb):12.8g/dL、コリンエステラーゼ:220 U/L、尿素窒素(BUN):16 mg/dL、血清クレアチニン(SCr):0.9 mg/dL、総コレステロール(T-Chol):140 mg/dL、中性脂肪(TG):100 mg/dL
【既往歴】
一過性脳虚血発作、高血圧、脂質異常症
【服用薬】
アムロジピンベシル酸塩(商品名アムロジン、ノルバスク他)5mg/日、アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール他)5mg/日、クロピドグレル硫酸塩(プラビックス他)75mg/日、レバミピド(ムコスタ他)300mg/日
検査の結果、Sさんは胃癌と診断され、手術が決まりました。手術まで中心静脈より栄養補給することとなり、以下の処方がなされました。Sさんの治療に薬剤師としてしっかり対応していきましょう。
【処方】
高カロリー輸液キット製剤*800mL 1日2回 12時間ごと
*高カロリー輸液キット製剤800mL中の主な成分
ブドウ糖22.5%、アミノ酸30g、総合ビタミン、微量元素、Na+50mEq、Cl-50mEq、K+25mEq、Mg2+6mEq、Ca2+8mEq