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新型コロナの自宅療養、処方に「10日間」の壁

2021/09/24
堀籠 淳之(薬剤師)

 前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の自宅療養者への対応について紹介します。2例目は、近隣で発熱外来を行っているクリニックで新型コロナウイルスの抗原検査結果が陽性になった患者さんです。咳や喉の痛み、発熱があったので、それらの症状に対して、アセトアミノフェン(商品名カロナール他)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(メジコン他)などの処方が5日分出されました。

 前回、陽性患者さんの薬の受け渡し方法として自宅での非接触での方法をお伝えしましたが、抗原検査が陰性の人、抗原検査陽性でも自宅が遠方だったり、症状が重い人などの場合には、ケースによって発熱外来の処方医と相談しながら、薬局の駐車場などで薬の受け渡しを行っています。

 今回のケースは、薬局と自宅の距離が近く、よく私の薬局に来局する患者さんだったため、発熱外来の受診後、患者さんにはそのまま帰ってもらい、前回紹介した接触を避ける方法での薬の受け渡しを選択しました。

 この患者さんは、家族も濃厚接触者だったため、その後、何度か電話で連絡して状況を確認し、5日後の薬が切れる前には電話によるフォローアップを行いました。すると、咳や味覚・嗅覚障害などの症状が若干残存していたので、その状態を医師に電話で情報提供しました。医師は電話診療を行い、「まずは薬でしっかり症状を取った方がよいだろう」という方針で、同じ処方薬が5日分出され、私が、同様の方法で薬を受け渡しました。

 ただ、行動制限解除の期限を念頭に診断後10日目にフォローアップの電話をかけて状況を尋ねると、「2日前に保健所から電話があり、『服薬を中止して、熱が出ないか様子を見ましょう』と言われている」と思わぬ返答が聞かれました。

 この出来事で分かったことは、10日間対症療法薬の服薬を続けていると、行動制限解除の条件である「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」に該当するかどうか、保健所がアセスメントするのに邪魔してしまうということです。薬の服用により、症状がマスクされてしまう可能性があるからです。

 自宅療養者との接触を極力避けるため、初診時に10日分の処方薬を出すルールにしている医療機関や地域もあると聞いていますが、私どもと連携している今回のクリニックの処方医は、このケースを経験してから7日間処方に変更しました。

 まだまだ試行錯誤の取り組みですが、今後もCOVID-19の自宅療養者の服薬後のフォローアップを続けていきます。患者さんが出ないことが一番ですが……。

著者プロフィール

堀籠淳之(中央薬局[北海道旭川市])
ほりごめ あつし氏 北海道旭川市生まれ。東京薬科大学卒業後、同大学の大学院に進学し、薬学専攻博士課程を修了。1999年に旭川に戻って父親が経営する中央薬局に就職し、2010年に代表取締役に就任。本人のブログ「旭川の薬剤師道場」も好評連載中。

連載の紹介

堀籠淳之の「日々是精進!薬剤師道場」
博士号を持ち、薬局経営者になった今も、自らを厳しく律して精進に励む“武闘派”薬剤師の堀籠氏。積極的に参加している勉強会や研修会で仕入れたホヤホヤの医薬品情報・医学的知識や、日常の薬局業務の中で感じた疑問、薬剤師や薬業界に対するメッセージなどを熱く綴ります。

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