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ビレーズトリのカウンター表示に注意!

2019/10/30

 今回は、2019年9月に発売されたばかりの慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬のビレーズトリエアロスフィア(一般名ブデソニド・グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物)を使うことになった在宅患者さんのお話です。吸入器に、今までのタイプとは違う特徴がありましたので、お伝えします。

 その患者Aさんは、COPDの治療中で認知症を合併しています。もともと、テリルジー(フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ウメクリジニウム臭化物・ビランテロールトリフェニル酢酸塩)が処方されていましたが、訪問看護師が練習笛で吸入状況を確認した際、十分な吸気流速が保てていないようだという報告が、何度かありました。そのため、サービス担当者会議の場で、同じ吸入ステロイド(ICS)/長時間作用型β2刺激薬(LABA)/長時間作用型抗コリン薬(LAMA)の3剤を配合したトリプル吸入薬であるビレーズトリへの処方変更を提案し、決定しました。

 Aさんの場合、吸入時に奥様の介助が必要なので、1日1回吸入で済むテリルジーの利点は捨て難かったのですが、きちんと吸えなければ意味がありません。ビレーズトリは、1日2回の吸入が必要ですが、エアロゾルタイプ(厳密にはエアロスフィア)で加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)による吸入薬であるため、吸気力が低下した患者でも吸気流速に依存せずに吸入することが可能です。

 薬剤が処方されると、まずAさんの自宅を訪問して、ご本人と奥様に吸入指導を行いました。Aさんには、以前、チオトロピウム臭化物水和物のキット製剤であるスピリーバ2.5μgレスピマット60吸入が処方されていた時に、噴霧と吸入のタイミングを同期できず、同薬のカプセル製剤(スピリーバ吸入用カプセル18μg)に処方を戻したという経緯がありました。そのため、薬剤噴霧と吸入の同期が必要なエアロスフィアでは、スペーサーの使用が必要だと考え、スペーサーを用意しました。

 スペーサーを使うと、噴霧薬剤をいったん収めてから吸入できるため、1噴霧に対して複数回吸入することができます。本人が特に問題なく吸入できることを確認してから薬局に戻り、多職種での情報共有に使用しているSNS上で、訪問時にはAさんの吸入状況をヒアリングするようお願いしました。

 初めのうちは、訪問看護師から「問題なく吸入できていました」という報告があったのですが、1週間ほどたった頃、「奥様によると、ビレーズトリは『残0』の赤い表示が見えてきたため、昨日は以前使用していたテリルジーを吸入させたとのことでした」と訪問看護師から報告がありました。

 ビレーズトリエアロスフィアは56回分の薬剤が充填されている(1回2吸入、1日2回)ため、14日は使用できるはずです。私はすぐに訪問して、どのような状況なのかを確認しました。

著者プロフィール

堀籠淳之(中央薬局[北海道旭川市])
ほりごめ あつし氏 北海道旭川市生まれ。東京薬科大学卒業後、同大学の大学院に進学し、薬学専攻博士課程を修了。1999年に旭川に戻って父親が経営する中央薬局に就職し、2010年に代表取締役に就任。本人のブログ「旭川の薬剤師道場」も好評連載中。

連載の紹介

堀籠淳之の「日々是精進!薬剤師道場」
博士号を持ち、薬局経営者になった今も、自らを厳しく律して精進に励む“武闘派”薬剤師の堀籠氏。積極的に参加している勉強会や研修会で仕入れたホヤホヤの医薬品情報・医学的知識や、日常の薬局業務の中で感じた疑問、薬剤師や薬業界に対するメッセージなどを熱く綴ります。

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