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実務実習での集合研修のメリット

2014/07/07

私たちの薬剤師会が集合研修を行う理由
 ご存じのように、薬学部5年次に実施される5カ月間の実務実習の半分は、薬局での実習となります。その中で、私たちの薬剤師会では「集合研修」を数回行い、学生たちからも大学の教員側からも好評を得ています。

 「集合研修」の内容は薬剤師会によって異なり、みなさん色々と工夫されています。もちろん、集合研修を行わなくても、各薬局で問題なく実務実習を完結できるとして実施していない地区もあります。

 私たちの薬剤師会が集合研修を行う主な理由は以下の2つです。

 1.薬学教育モデル・コアカリキュラム(実務実習モデル・コアカリキュラム)で定められた学習内容の中で各薬局の指導薬剤師が充分に指導できないと判断されるものがある。
(例)「在宅医療」、「地域医療・地域福祉」、「災害時医療と薬剤師」、「学校薬剤師・地域保健」、「セルフメディケーション・プライマリケア」、「薬局製剤」等。

 2.学生達を集めて、SGD(スモールグループ・ディスカッション)を行った方が学生たちの理解を深めることできる学習項目がある。

 異なる大学の学生たちとディスカッションできたり、たくさんの指導薬剤師と出逢えることが実習生達の高いモチベーションを維持することに役立つと考えています。

薬局の3大業務と集合研修
 「薬局の3大業務」とは、「医薬品の製造」「医薬品の調剤」「医薬品の販売」を指します。街の保険薬局は三つ全てを行うとなっています。

 1番目の医薬品の製造とは、薬局製剤の製造です。これは人気のある集合研修の一つとなっています。私たちの薬剤師会では、これに最低まる二日間を掛けることにしています。研修では、感冒剤13号A、感冒剤3号A、解熱鎮痛剤8号A、解熱鎮痛剤1号A、鎮咳去痰剤13号、複方ダイオウ・センナ散、オウバク・タンナルビン・ビスマス散、健胃剤1号の中から内用薬を2種、コーチ・C・P・V軟膏、デキサメタゾン・C・P・V軟膏、クロトリマゾール・M軟膏、U・Hクリームの中から外用薬を2種、さらに、漢方薬の湯剤を1種(葛根湯)、散剤を1種(当帰芍薬散または五苓散)、外用薬を1種(紫雲膏)と合計7種の薬局製剤を製造させています。

 2番目の医薬品の調剤に関しては、ハイレベルな内容の集合研修にしています。知識を駆使する喜びを学生たちに伝えたいからです。薬を取りそろえる前には処方監査について詳しくディスカッションしていきます。例えば、ステロイド外用薬と保湿剤の混合の処方に対しては、ただ指示通りに混ぜ合わせるのではなく、その可否をも検討します。基剤によっては混合が不適な組合せもあるからです。そのような場合は、乳化が壊れ、保存性のみならず効果が落ちてしまいます。また、混合によっても成分が全く薄まらず、逆に皮膚透過比が上昇し、血管収縮効果が強くなってしまう場合もあります。その他、後発品への変更に伴う添加物の違いがアレルギーを引き起こすケースも薬剤師としては防がなくてはいけません。多くの学生がこの集合研修の後に「薬学部を選んで良かった」と感想を述べてくれます。

 3番目の医薬品の販売、つまりOTC薬と薬局製剤の販売です。座学だけではなく、全部で3つほどの課題について、それぞれロールプレイとSGDを数回繰り返すことによって知識を深め疑似体験をさせています。これは、セルフメディケーションの支援が薬剤師の重要な役割であることを認識させ、プライマリケアの概念を習得する上でとても大切な集合研修となっています。

集合研修を意識した薬局の構造
 私たちの薬剤師会では、集合研修は主に公民館や地区医療センター等の施設で行っています。講義やSGDのみであれば、これらで充分なのですが、医薬品の製造については薬局の調剤室を利用するのが一番です。

 私が管理薬剤師を務めているまい薬局富士見店の調剤室でも、薬剤師会の集合研修を年に3回程度開催しています。その場合、患者さんのいない時間。つまり営業時間外の土曜日の夕方や、日曜・祭日に行います。集合研修を想定した設備面の工夫を行っていたりするので、それを紹介させていただきます。

著者プロフィール

平野 道夫(まい薬局富士見店〔埼玉県富士見市〕管理薬剤師、武道家)ひらの みちお氏 1959年生まれ。城西大学薬学部卒業。埼玉県薬剤師会支部で20年以上にわたって学術部理事を務め、薬剤師や薬学生の教育に尽力。認定実務実習指導薬剤師。

連載の紹介

平野道夫の「薬局手習指南所」
毎年、実務実習生を受け入れるとともに、地区薬剤師会の集合研修の講師として地域保健、在宅医療、災害時医療、セルフメディケーション、OTC薬、薬局製剤などに関する講義を担当。「街の薬局薬剤師は、薬剤師の本質を再考して原点回帰すべき」と唱える平野氏が、薬学生や若手薬剤師への教育・指導を通じて感じたこと、考えたことをつづります。

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