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薬剤師によるワクチン接種が導く3つの変化

2021/05/28

 感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として期待されるワクチン。高齢者を中心としたワクチン接種がいよいよ本格的に始動しています。その中で、賛否両論が渦巻いていますが、薬剤師が接種行為そのものを行うかどうか、いわゆる、打ち手になるかどうかという議論が急速に高まってきました。

 私自身は、医師と薬剤師がそれぞれ専門性を生かして協働して治療に当たる「医薬協業」という概念の中で、医師は診断と救命に重心を置いて業務に従事し、プライマリケアや統合医療的な部分は薬局・薬剤師が積極的に担っていくという協業の形を、以前から提唱していました。その考え方に立てば、いわゆる「診断」が不要なワクチン接種については、医師が全てをやらなくてはならないというものでもないのではないか、と考えてきました。

 昨今の議論を見ると、予診は医師が行うべきだということもあるようですが、明らかに除外すべき症例の条件は決まっていますから、今後、接種のスピードや規模が感染収束への鍵を握っているとすると、オンライン診療の0410対応のような時限的・特例的な措置として、薬剤師による接種は前向きな議論が進んでいくこともあり得るのではないか、と感じています。

 ただ、その一方で、アナフィラキシーへの注意は全症例において必要です。予診段階では問題がないとされていても起こってしまうのがアナフィラキシーです。万が一の時に、プロトコール通りにアドレナリン投与など当座の処置はしたとしても、医師が駆け付けられる、もしくは医師の診察や指示がオンラインなど何らかの形ですぐ受けられる体制を整備することは、接種者の安全性の担保の観点から重要だと考えています。

 これらを考えると、もし、薬剤師がワクチン接種を行うとすれば、私は医師の立場から、以下の3つの点について事前にレクチャーを受け知識と技能と態度を習得していただきたいと思っています。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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