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薬局業界における「逆張り」を考える

2020/07/21

 「逆張り」という言葉があります。

 改めて調べてみると、本来は株式用語のようで、証券会社のウェブサイトに解説が載っていたりしました。面白いですね。

 一般的な意味としては、「大勢の人が行っている方法とは真逆のことをやる」といった感じになるでしょうか。

 日本はとにもかくにも、企業活動は護送船団方式が一般的でした。1つのやり方を基本的な同じ考え方、価値観で行っていくことが良しとされ、変わったことをすることはあまり評価されませんでした。教育もそうですかね。

 これは素晴らしいことだと思いますし、ある意味、日本的な特色であり、成果も生み出してきたと思います。一方、教育の現場では、多様性を重んじる風潮などもでてきて、また、新たな成果を出しているケースも見聞きします。

 では、薬局業界はどうでしょうか。

 私の申し上げているところの「薬局1.0」においても、結構、やり方は決まっていたような感じがあります。商店街に店を構え、店頭には洗剤やトイレットペーパーなどお買い得品を並べ、入ってすぐのところにはドリンク剤のタワー陳列があり、その横にはストッカーがあって、たくさんのドリンクが冷えている。奥にはカウンターがあって、店主が立っていて、その背中には薬が一杯並んでいる…的な感じは、多少の差はあれ、全国共通だったと思います。

 「薬局2.0」においては、さらに均一化が進みました。というのも、調剤報酬に基づく業務フロー、店舗内レイアウトというのは、ある程度決まってくるからだと思います。医療機関に隣接して店を構え、店頭は医療機関の雰囲気を壊さないようにシンプルに。処方箋を持参した患者さんへの対応、調剤、服薬指導、薬歴記載など行うべきことは決まっていますし、患者さんの待ち時間の苦痛を和らげるような待合作りのセオリーも決まっています。今、これ以外のことをやろうとすると、薬局の採算性が低下したり、患者さんのアメニティが落ちたりするので、止めろ、と言われます。

 ただ、ちょっと考えて見てください。そもそも「薬局2.0」とは、究極の逆張りだったのではないでしょうか。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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