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私が挑んできた4つのタブー

2020/01/21

 先日、取引先の銀行の方と打ち合わせをしたときに、「社長は10年くらい前から、業界がこうなることをご存じだったのですか?」と質問されました。10年前から何をやってきたかを改めて考え直すと、この業界特有のタブーに果敢にも(無謀にも!?)挑んできたなぁと感じたことがあったので、今日はそれを皆さんとシェアしたいと思います。

 まず、1つめは「薬剤師は患者の体に触れてはならない」というタブーです。2008年に、在宅医療の現場で薬剤師が血圧測定やSpO2のチェック、心音や呼吸音、腸音の聴診ができるといいなと思い、トライアルをしたらすごく良かったので、2009年に「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」を開催しました。その頃、ものすごく言われたのが「薬剤師って、人の体に触れてはダメなんですよ」ということでした。もちろん、法的な根拠はなく、広く固く信じられていた“都市伝説”のようなものだったのですが、その抵抗はかなり激しいものでした。それが、今や、薬学教育のモデル・コアカリキュラムにも取り入れられ、全国の薬学部で教えているのですから、時代は変わったなぁと思います。

 2つめは「ピッキングは薬剤師以外がすることはダメだ」というタブーです。これは、法的には薬剤師以外が調剤を行うことを禁じた薬剤師法第19条に基づくものですが、薬包紙で薬を包んだり、天秤で散剤を量り取ったりすることが激減していたこともあり、悩ましく思っていました。一方、2013年から、当社の在宅業務が一気に増えた時期に、薬剤師の業務が激増しました。外来業務も従来通りにある中で、現場は破綻状態になりました。業務フローの見直しと整理、そして適切な機械化やICT化を進めていく中で、「業務的には重要だけれども、薬学的専門性はないか、極めて低い」業務は、薬剤師が全てをやらなくてもよいのではないかと考えるようになりました。結果的には、2019年4月2日に、厚生労働省から「調剤業務のあり方について」と題する課長通知(いわゆる0402通知)が出て、条件を整備すれば可能であることがはっきりしました。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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