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外来業務も2.0から3.0へ!

2019/03/11

 前回、薬を渡すまでの対物業務が主体の「薬剤師2.0」から、少なくとも服用期間中はフォローし、薬学的見地から患者をアセスメントした上で、必要に応じて医師にフィードバックするという対人業務が主体の「薬剤師3.0」に変わると書きました(「薬局3.0、薬局マネジメント3.0、薬剤師3.0の先 」)。この変化に対応するために、外来調剤業務の在り方を考え直してみることにしました。

 在宅業務を拡大する中で、私たちが取り組んできたのは、以下の3点です。

1)業務フローの整理と見える化
2)徹底的な機械化と情報通信技術(ICT)化
3)非薬剤師スタッフの活用

 外来調剤業務においては、全国の薬局がそうであるように、当社でも見える化はかなり進んでいました。ただ、服用期間中のフォローを薬剤師が行うためには、業務を組み直さなければなりません。そこで当社では、薬剤師による患者からのヒアリング、処方医への疑義照会、各種指導などのタイミングを、医薬品の調製・取りそろえを始める前に移動させることを考えました。

 これによって、薬剤師のアイドリングタイムが少なくなり、結果的に患者さんの待ち時間も短くなるというメリットも生まれました。

 また、様々な調剤機器が発売され、最近では価格も少しずつ手が届くくらいになってきたこともあり、可能なものについては積極的に採用するようにしてきました。特に、棚番設定とPDAシステムの採用によって、薬剤の取りそろえをシステマティックに行うことが可能になったことや、POSレジをレセコンと連動させることで、会計業務の簡素化を図れたことが大きかったです。

 このような業務フローの見直しと、積極的な機械化やICT化によって、薬学的専門性が必要なくなったり、かなり低くなったりします。その結果、薬剤師でなくても取り組める外来業務が増えていきます。このように考えていくと、薬剤師の外来業務も3.0化するのではないでしょうか。

 「外来業務1.0」は、OTC薬を中心とした“街の相談薬局”で薬剤師が果たしてきた業務です。健康上問題を抱える患者(というより顧客)が来店し、薬剤師の見立てで商品を購入し、さらに経験に基づいて薬剤師が生活上のアドバイスなどを行っていました。そして「外来業務2.0」は、現在の“調剤薬局”で多くの薬剤師が従事している業務で、保険業務に従事する上で重要なことを満たしながら、薬の払い出し機能(まさに、dispenserとしての機能)を高い質を担保して遂行する業務です。

 これからの「外来業務3.0」は、地域包括ケアシステムを支える上で、通常の生活習慣病患者さんがきちんと薬物治療を受けられる体制を整えるとともに、急速に増えつつある外来化学療法のサポートを薬学的専門性を発揮して支える業務です。

 このように薬局における外来業務が変わる中で、その目的や薬剤師に求められるもの、薬剤師の専門性や、非薬剤師の業務範囲も変わっていくのだろうと考えています。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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