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薬局薬剤師へのネガティブな評価をなくすには

2015/07/24

 中央社会保険医療協議会(中医協)でいよいよ論戦が始まりました。規制改革会議以後の議論も受けて、いわゆる「調剤薬局」への風当たりは厳しく、メディアの報道を目にして、心がざわめくような思いをしている方も多いのではないでしょうか。

 しかし、薬剤師の仕事が、医師の指示に基づいて処方監査・疑義照会を行い、正確迅速に調製して、分かりやすい服薬指導とともに薬を交付し、一連の行為を薬歴に適正に記載する、という始点と終点がある業務であるならば、昨今の医師や国民からの薬剤師業務へのネガティブな指摘はもっともだと思います。

 機械的な併用禁忌はデータベースが、機械的な調製業務は調剤機器が、機械的な服薬指導はインターネットが、それぞれ代替することが技術的に可能になってきました。そのような時代になったにもかかわらず、薬剤師がいわゆる「調剤」を支えていた時代のコストがずっと掛かり続けていることが、社会保障費の適正化の観点から、種々の問題を引き起こしているのではないでしょうか。

 一方、医療には種々の課題があります。その1つが、多剤併用やそれに伴う薬剤性の有害事象です。これらは財政的にはもちろん、国民の幸福という観点からも看過できない重要な問題です。極端な話をすれば、この問題の解消は全国民の課題であり、医療従事者も介護スタッフも、患者も家族も、力を尽くさなければなりません。

 医師も、当然ですが、自分が投薬した薬が、きちんと飲めているのかを確認して、次の診察を行い、処方を行うことが必要です。今までも現場の多くの医師はそれをしてきたと思いますし、患者さんやそのご家族、ケアスタッフは、それに応えてきたのだと思います。ただ、現実に今、残薬問題が社会問題化しており、今後、この流れは高齢化が進むわが国で、一層顕著になっていくでしょう。

 このような流れの中、抜本的な、システマティックな改変が必要だと思った時に、肥大化したともいわれる薬局や薬剤師をどう捉えるかということはポイントになると思います。

 通常はネガティブに捉えます。お金が掛かりすぎ、役に立っていない、だからもう無くす方向で行くんだ、と――。機械と情報通信技術(ICT)を活用することで、無くても大丈夫な世界はできるんだ、と。7兆円の調剤薬局市場を、例えば5兆円に圧縮して、2兆円の財源を確保する。今までの“過剰”な利益を修正することで、この難局を乗り切るということです。この節約理論(?)は理解されやすいし、現在の薬局での薬剤師との体験を想起させるようなフレーズを並べれば、国民の共感も得られやすいでしょう。

 しかしそれでは、残薬の問題が解消されるというマイナスがゼロになるところまでしか行きません。そして、何より、制度を作り、現場で熱心に取り組み、活動してきた私たちの先達や私たち自身の活動の成果も、全てゼロにすることになってしまいます。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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