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規制改革会議が「医薬分業」を論ずる意味

2015/02/21

 1月末、衝撃的なニュースが飛び込んできました。内閣府の規制改革会議が、公開ディスカッションのテーマに「医薬分業」を取り上げるというのです。

 人口構造や社会システムが変革する中で、いわゆる高度成長期につくられた種々の仕組みやルールが現状に即さなくなることは容易に想像できます。しかし、その一方で、日本は厳然たる法治国家であり、法律に違反することは許されず、状況によっては民事もしくは刑事罰の対象となります。そこで、経済社会の現状に合わせて法律を大きく変えるために、内閣総理大臣の諮問機関としてこのような会議が作られたのだと思います。

 例えば昨今の在宅医療の分野でも、種々の問題や課題にぶち当たります。今までは診察室で行っていたことを、患者の自宅や介護施設で行うわけですから、当然といえば当然です。もちろん、無診察診療はあってはいけませんし、診療なくして処方箋発行があってはいけません。しかし、ITのインフラ、デバイスの進歩によって、診療のスタイルは変わってきています。一昔前と異なり、テレビ電話での診療がほぼ可能になった現在、診療や見守りのスタイルは変わってきていると実感します。そうなると、種々の法律や規則を変えていくのが筋といえるでしょう。

 このような変化は、状況や環境変化の要素は違えども、日本の至る所で起こっている普遍的な問題です。現在、規制改革会議のワーキンググループが「健康・医療」「雇用」「農業」「投資促進等」の4分野に分かれてかれているのは、さもありなんと感じていました。

 しかし、医薬分業そのものをテーマに取り上げるというのには驚きました。会議で配布された資料「公開ディスカッション(第2回)のテーマ追加について」(こちら)を見ると、医療機関と薬局との間のフェンスをどうするかという「患者の利便性」に並んで、院外処方そのものが論点に挙げられています。今後、「患者の利便性」「分業の効果」などを踏まえながら、患者の視点に立った規制の在り方などについて議論が行われるようです。

 会議終了後の記者会見で、議長を務める住友商事相談役の岡素之さんは以下のように述べています。

 これまで政策的に進められてきた医薬分業に関し、現状、いろいろな課題があるのではないかという中で、私どもが受け止めているところとしては、1つは「患者の利便性」という問題。これは病院と薬局が物理的に離れていなければいけないということで、私も経験がありますが、処方箋をもらってとことこ歩いて、道を1つ隔てた薬局へ行ってそこで薬をもらわなければならない、あるいはフェンス1つ隔てたところに薬局があるとか、「患者の利便性」という切り口から、この辺のところを一度見直したらどうだろうかという問題。
 もう一つは、薬局で薬をもらうときに我々が負担する金額と、そこでそれに見合ったサービスをしていただいているのかどうかということ、あるいは医薬分業の効果が出ているのかどうか、という角度から一度議論をしてみたらどうかということでございます。(「第41回規制改革会議終了後記者会見録」より抜粋)

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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