DI Onlineのロゴ画像

もう一度、薬剤師に戻ってみませんか?

2014/12/25

 ありがたいことですが、最近は薬剤師向けの講演会やセミナーでお話をさせていただく機会が増え、講演後に名刺交換をする機会がしばしばあります。その中に、薬剤師としての臨床の現場から離れている方がちらほら、いらっしゃいます。その方たちと話をして、考えたことがありました。

 例えば、ある程度の規模以上の薬局に所属され、入社後一定の期間が過ぎている方の中には、人事や採用、教育や営業・開発など、ビジネスパーソンとしての仕事に従事され、薬剤師として調剤の現場に立つことがないという方が少なくありません。

 また、病院や薬局での勤務経験を基に、いろいろな分野で起業される方もいらっしゃいます。自分自身の臨床での経験の中で、気が付いたり感じたりした問題点を解決したいと、一大決心をされた方たちです。

 さらには、全く薬剤師とは別の資格を取得されている方もいらっしゃいます。私がお目にかかった方の中には、医師や看護師といった別の医療資格の他に、弁護士や弁理士といった資格をお持ちの方もいらっしゃいました。これも、いわば現状の問題点を何とかしたいと、一念発起されたのだと思いますが、ほとんどは薬剤師の仕事から離れておられます。

 もちろん、一人ひとりの職業選択について、どうこういうわけではありませんし、私自身も外科医としてのキャリアを変えて薬局の社長をしていますから、同じです。ただ、その方たちの多くが、患者さんと接点のある仕事に対して夢を持っていないように感じたのです。

 実際、転身の理由を伺うと、しばしば挙がるのが「今の薬剤師のあり方は、限界だと思って」というものです。

 薬局の運営やマネジメントに携わっている方は「もう、僕らは現場(なんか)には出ていないので…」とおっしゃいます。寂しいのかな、と思うと、そういうわけでもなさそうで、どちらかと言えば、そういう日々の雑事(!?)から解放された立場にあるという感じでしょうか。

 また、先日お目にかかった方は、医療系以外の国家資格を取られて活動されていましたが、「先生、私、薬学部卒で薬剤師免許もっているのですけどね。ただ、病院実習に行ったときに、『こりゃ、はさみが使えて、かけ算できたらできる仕事だ』と思った瞬間に、薬剤師として働くことは辞めようと思いました」とおっしゃっていました。

 もちろん、異論、反論ありますよね。僕もあります。誤解も多いと思いますし、そうならざるを得なかった事情もあると思います。しかし、結果的に、薬剤師として患者と触れ合う現場から、距離を置くようになった薬剤師さんが、ある一定数いらっしゃるのではないかと思うのです。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

この記事を読んでいる人におすすめ