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疑義照会するとクビ?!

2014/09/29

 先日、ある大学の先生とお話する機会がありました。同級生の薬剤師が保険薬局で管理薬剤師をしていたが、処方医に疑義照会をしたら、しばらくして管理薬剤師をクビになって、他店に配置換えになったというのです。また、先生の大学の薬学生が、薬局実務実習先で、指導薬剤師に「疑義照会……。まぁ、まず聞き入れてもらえませんから」と諭された(?)そうです。

 話す先生も、聞く私も、複雑な苦笑いを交わし合うしかありませんでした。

 そもそも、疑義照会は、薬剤師法第24条で「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを公布した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない」とされている、薬剤師にとっては必須の事項です。薬学教育でも「処方に疑義があれば、きちんと疑義照会をしなければいけません」と教えています。

 疑義照会が「ただ確かめるだけ(=医学的に正しい処方に変えなさいというものではない)」と受け取られること、医師に疑義照会への対応を義務付けた法律がないということもあるのかも知れませんが、疑義照会がスムーズに流れない場面は少なくありません。

 随分、昔の話かと思っていても、現実問題として「薬剤師ごときが医師の処方に口を出すな」とか、「患者の個人情報について、薬剤師に伝えるわけにはいかない」といった医師や医療機関の対応は、まだまだ珍しくないのが現実です。

 私は、薬局経営者、そして医師の立場から、既存の疑義照会というシステムには2つの課題があると考えています。

 まず、前者の立場でいえば、過去30年余り、保険調剤を主業務とする薬局では、経営を近隣の医療機関(そして、その多くは開業医)に依存してきたということ。患者さんに人気のある医療機関に近接して出店し、多くの処方箋を応需することで売上を確保し、利益を出す構造になってきたということです。

 このような状況では、やはり、医師との関係を良好に保つことが大切です。構造的・機能的・経済的独立を保っているはずの薬局ですが、売上のほとんどが、その医師が出す処方箋で成り立っているとすれば、波風を立ててほしくないというのが経営者や管理者の本音でしょう。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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