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「狭間君、やっと、孤独から解放されたよ」

2014/07/30

 私は、この数年、医師としては、個人宅や施設での在宅患者の訪問診療をメインとして活動しています。来たるべき「多死」時代に備えるために急速に整備されつつある介護施設での適切な医療提供体制は、特に興味のある分野であり、自分自身をその現場に置きながら、その問題点を見いだし、課題解決のきっかけを探っています。

 そのような活動の中で、5年ほど前からは、自分の訪問診療には薬剤師に同行してもらうことにしています。さらに4年ほど前からは、薬剤師が居宅療養管理指導に訪問した際に、バイタルサインを採集し、そのデータをクリニックや施設のスタッフと共有するようにしてきました。

 そして、この2年ほどは、薬剤師が作成する居宅療養管理指導の報告書に、一般的なコンプライアンスや併用薬、患者の状態などの情報の他に、バイタルサインデータを基に、薬剤師が薬物治療の成果や副作用の有無についてどのように考え、評価しているかを書き込んでもらうようにしてきました。

 最近では、訪問診療で施設に伺ったときに、クリニックの医師、看護師は、薬剤師から簡単なブリーフィングを受けてから患者の元に赴くことにしています。これは、疑義照会というタイミングではなく、医師が処方を決める前に、薬剤師から薬学的アセスメントを教えてもらうことで、私たち医師がスムースに薬剤師と協働できると気づいたことが理由です。

 このようなブリーフィングを受けることで、患者の状態の把握が進み、私自身の診療も、さらに効率的・効果的に行えるようになり、薬物治療の質、ひいては、私の医師としての「腕」も上がったように思えてきました。現在は、この感覚を、私以外の医師に伝える試みを始めていますが、まずは、同じクリニックで、私と同じように施設訪問を行っているK先生にお話して体験してもらっています。

 K先生は、私の外科のお師匠さんで、研修医時代に呼吸器外科の基本を教わった先生です。私よりも20年ほど先輩で、基幹病院の部長を務められた後、2年ほど前から、私が理事を務めるクリニックに加わってくださった先生です。そのK先生に、私が感じていることや考えていることをお話し、実際に、薬剤師との連携はどのようにすればよいのかをお話して、実践していただいています。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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