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「調剤薬局ビジネスの終焉」はイノベーション

2014/04/15

 この数年、薬局や薬剤師、在宅医療や医療ICTなどをテーマに活動してきましたが、やりたいことは「地域医療イノベーション」だと思ってきました。イノベーションというカタカナ語は、人によってその言葉を用いる背景や意味合いが異なる、いわゆるバズワード化していますが、私自身は、新しいアイデアで新たな価値を生み出し、それを人や組織の自発的な改革につなげていくことだと理解していました。

 例えば、薬剤師が聴診器を持つとか、血圧を測るという「新しいアイデア」は、薬局の特色作りでも、薬剤師の職能拡大でもなく、薬局や薬剤師という医療における社会資源が、日本の医療の提供体制において新たな価値を持つと思ってきました。それを、私どもの薬局だけでなく、他の薬局・薬剤師が自発的に取り組んでいけるように、一般社団法人日本在宅薬学会の活動を始めたのです。

 最近、講演会に招かれると「薬局から始める地域医療イノベーション」というテーマでお話することも多いのですが、何か、もう一段、理解を深めたいなと思っていました。

 そんなある日、新聞を読んでいたら、ある新聞社が札幌市で「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を書いた作家の岩崎夏海さんの講演会を開催したという小さな記事が目にとまりました。その記事には、岩崎さんはドラッカーの教えとして「何かを始めるのではなく、終わらせることがイノベーション」として紹介したと書いてありました。これは私にはがつんときました。まさに、目から鱗が落ちるとはこのことかと思いました。

 薬学教育が6年制になり、医薬分業率も頭打ちになってきて、いわゆる「調剤薬局」としてはパイの奪い合いの様相を呈してきており、何かと閉塞感が漂う業界です。状況としてはイノベーションが必要だと痛感しますが、この岩崎さんの講演から考えるに、薬局・薬剤師が何かを終わらせることがイノベーションへの引き金になるのではないかと直感したのです。

 では、今、薬局や薬剤師が終わらせるべきものは何でしょう。あなたは、どう考えますか?

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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