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【第6回】褥瘡に対する薬剤の適正使用(後編)
ポケットを伴う褥瘡に有効な「創内固定」

2018/08/17
古田 勝経

 前回は、テープを用いた「創外固定」について解説したが、創外固定で効果が得られないポケットを伴うような褥瘡の場合、創内部分に溶解しない材料などを挿入して創の変形を防止するような「創内固定」という方法も選択される。

 ポケットは、感染などにより組織が壊死を来して空洞化し、そこに外力が加わることによって形成される。さらに、外力によってずれることで、ポケットを形成した部分はさらに広がり、ポケット内の創面が擦れ合うことで組織に傷が付き、一層治りにくくなる。

 特に、全周にポケット形成があり、かつ、骨突出部直上にあって全方向へ容易に移動したり変形を繰り返すような創の場合、単に、ポケット内に外用薬を充填するだけでは薬剤が滞留しにくく、薬効が発揮されにくい。このようなとき、創内固定の出番である。

 写真1は、創傷被覆材の1つであるキチンドレッシング材(商品名ベスキチンWA)を創内に充填し、創内固定を行った一例である。創傷被覆材の中で、滲出液を吸収しても溶解しないような、創内固定に適した製品はわずかしかなく、中でも、キチンの不織布であるキチン綿は、創面の保護と肉芽形成促進に役立ち、外用薬との併用など相性の良い被覆材の1つである。

写真1 キチン綿による創内固定の例 創外固定によって創を安静にできない場合には、創内固定により安定化させ(右)、治癒環境を保つ。

著者プロフィール

古田勝経(医療法人愛生館小林記念病院[愛知県碧南市]褥瘡ケアセンター センター長)ふるた かつのり氏。1976年名城大学薬学部卒業。国立名古屋病院、旧厚生省生活衛生局食品化学課、国立療養所東名古屋病院、国立長寿医療研究センター薬剤部副薬剤部長、同センター臨床研究推進部高齢者薬物治療研究室長などを経て、2015年から現職。日本褥瘡学会認定褥瘡薬剤師。外用療法研究会理事長、NPO法人褥瘡サミット理事長、慶應義塾大学、名城大学等の非常勤講師などを務める。日本褥瘡学会元理事、教育委員会委員ガイドライングループ(外用薬リーダー)を担当。

連載の紹介

古田勝経の「褥瘡はフルタ・メソッドで治る」
薬剤師の視点から、独自の褥瘡外用療法「FURUTA Methods」を考案し、これまで1000例以上の褥瘡治療に携わってきた古田氏が、治療のポイントや多職種連携の勘所などを解説します。

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