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薬剤師による予防接種は、目的ではなく手段

2021/06/17

 2021年5月19日に、日本医師会と日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会が新型コロナワクチン接種推進合同会議をオンライン開催し、会議後に日医は「日薬の山本会長は、集団接種会場における問い合わせ対応や、薬液の希釈やシリンジへの充填といった薬剤師が担当する部分をまずはしっかり担うと表明。今後、ワクチンの打ち手が非常に不足する場合に、すぐに対応できるような研修などの準備は既に始めていると説明した」と記者会見で報告したとのことです(関連記事:日薬がワクチン打ち手不足への対応準備を開始)。

 また、5月24日には日薬山本会長が菅総理大臣と会談したとの報道がありました。会談後、山本会長はインタビューで、薬剤師が接種を担うことについて「『やれ』と言われれば、対応する覚悟を持っているが法律の壁がある。壁が解消されたら、接種体制を組んでいく中で、役割を求められれば逃げたりはしない」とコメントをしており、私は驚きました。視聴者(国民)に消極的な印象を与えたのではないかと心配しています。

 そして5月31日、厚労省の検討会では臨床検査技師と救急救命士が、(1)医師や看護師が確保できない特設会場での集団接種、(2)必要な研修を受ける、(3)被接種者の同意を得ることなどを条件にワクチン接種の担い手として了承されました(関連記事:薬剤師によるワクチン接種、現時点では見送り)。

 なぜ、山本会長は菅総理大臣との会見後インタビューで、「既に準備を進めている」あるいは「国民の安全・安心につながることであれば、積極的に協力・貢献する」とコメントしなかったのでしょうか。

著者プロフィール

古川裕之(医療安全システムデザイナー)ふるかわ ひろゆき氏◎雪国(福井県大野市)の生まれ育ちなのに、性格はなぜかラテン系。1975年金沢大学薬学部卒業後、同大医学部附属病院、臨床試験管理センターを経て、2010年より山口大学医学部附属病院薬剤部長。18年に退職し、現在はフリーランスの「医療安全システムデザイナー」として活躍中。趣味は、写真撮影とブラジル音楽のバンド。薬学博士。

連載の紹介

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