2020年9月11日、「三重大病院の医師がカルテ改ざん2200件 2800万円超の不正請求」という見出しの記事(中日新聞ウェブ版)がありました。その内容が医薬品に関係したものだったことと、権限(裁量権)を持つ立場の人(以下、管理責任者)の交代に関係しているように感じられたことから興味を持ちました。
それから半年後、この出来事の全体像が明らかになってきたので、これまでの約30件の新聞記事に基づいて時系列をまとめます(表)。この出来事ですが、三重大学医学部附属病院臨床麻酔部のB准教授(48)が、2018年4月~20年3月の間に、実際には手術で使用しなかったオノアクト(一般名ランジオロール塩酸塩)を、投与したように電子カルテに入力し保険請求を行ったというものです。なお、使用しなかったオノアクトは廃棄されていたとのことです。

表 三重大病院医師によるカルテ改ざんの全体像(※クリックで拡大します)
※電磁的記録不正作出・同供用
他人の事務処理を誤らせる目的で、それに使う電磁的記録を不正に作ったり供したりすること。刑法第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)により、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。この電磁的記録が公的(公務員が作成)なものの場合(公電磁的記録不正作出・同供用)は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。