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“あいまい表現”は情報伝達エラーの原因!

2012/08/17

“情熱”のハイビスカス 宇部の自宅にて2012年7月31日撮影

 野田首相は8月8日、民主・自民・公明の3党首の会談で、税と社会保障の一体改革関連法案について、「成立した暁には、“近いうち”に国民に信を問う」と発言しました。この“近いうち”という言葉がどのくらいの近さを指すのか、その解釈が問題になっています。あいまいな表現だからです。

 “近いうち”は、英語では、日常的には「soon」、「shortly」、「before long」あるいは「sometime soon」、フォーマルには「in the near future」と表現されます。こちらの方も、発する側と受ける側で、解釈が異なる可能性は大きいと言えます。

 あいまいな表現の解釈が難しいのは、私たちの日常生活においても同じです。例えば、モノを借りた場合に使われる「すぐ返すから」の“すぐ”という用語も、借りた方と貸した方では、その解釈が異なっていることが少なくありません。一般に、解釈というのは、個人の置かれている状況(立場)の影響を受けます。言い換えれば、立場が変わると、解釈も変わるのです。

 前置きが長くなってしまいましたが、解釈が異なることは、医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)の表現においても見受けられます。ある医薬品の添付文書には、警告欄に「本剤投与中は、定期的に血液検査を行い、上記副作用(※重篤な血液障害のこと)の発現に注意すること」との記載があります。この「定期的」という用語をどう解釈するだろうか……と、ギモンを覚えました。

 そこで、この「定期的」という用語の解釈について、医師、看護師、薬剤師、そして、製薬会社のMRの4グループを対象に、調査票を用いて調査を行いました。調査期間は、2011年2月から5月です。図1に示した通り、各グループ間、そして、個々のグループ内で、解釈にかなり違いがあることが分かります。警告欄に記載されている「定期的に血液検査」は、とても重要なことのはずです。「半年ごと」の血液検査では手遅れになる可能性もあります。

著者プロフィール

古川裕之(医療安全システムデザイナー)ふるかわ ひろゆき氏◎雪国(福井県大野市)の生まれ育ちなのに、性格はなぜかラテン系。1975年金沢大学薬学部卒業後、同大医学部附属病院、臨床試験管理センターを経て、2010年より山口大学医学部附属病院薬剤部長。18年に退職し、現在はフリーランスの「医療安全システムデザイナー」として活躍中。趣味は、写真撮影とブラジル音楽のバンド。薬学博士。

連載の紹介

古川裕之の「STOP!メディケーションエラー」
調剤する人は調剤エラーをする。調剤しない人は調剤エラーをしない。仕事をする限り、エラーから逃れることはできませんが、エラー事例から学ぶことで、重大なエラーを避けることはできます。「メディケーションエラー」防止に向けた10年以上の取り組みを通して学んだことを、分かりやすい具体例を示しながら紹介します。
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