
夏を彩るノウゼンカズラ。金沢の自宅にて2009年6月27日撮影。
この1週間で「筋弛緩薬を紛失した」という報道が2件ありました。紛失した筋弛緩薬とは、それぞれ「マスキュレート(一般名ベクロニウム臭化物)」と「エスラックス(ロクロニウム臭化物)」。ともに麻酔時に使用されるものです。
筋弛緩薬には「中枢性」と「末梢性」があり、麻酔時に使用されるのは「末梢性筋弛緩薬」で、剤形は注射剤です。この「末梢性筋弛緩薬」は、作用メカニズムの面から「脱分極性」と「非脱分極性」に分けられますが、現在は、非脱分極性の筋弛緩薬が主流です。その理由として、脱分極性の筋弛緩薬(スキサメトニウム)は、脱分極に伴う筋収縮により術後筋肉痛、高カリウム血症、眼内圧上昇、脳圧上昇などの副作用が多いだけでなく、悪性高熱症も発現もすることが挙げられます。
筋弛緩薬の紛失に関する報道は、下の表に示すように、今年はこれで4件目となります。「エスラックス」の紛失が目立ちます。その理由は、現在最も使用されている筋弛緩薬だからです。