DI Onlineのロゴ画像

投与量の計算ができない!!

2012/02/28

米国とメキシコの国境に立つ愛用のスーツケース(2007年1月撮影)

 メディケーションエラー(medication error)の原因の1つに、投与量の計算を間違えるということがあります。計算エラーは、処方時、調剤時、投与時のそれぞれのプロセスで発生します。

 医師の処方時の計算エラーは、体重当たりの投与量(例、5mg/kg)で表示されているときに、薬剤師の調剤時の計算エラーは、散剤や液剤で、それぞれ1g 当たりの有効成分含有量(例、50mg/g)、1mL当たりの有効成分含有量(例、10mg/mL)で表示されているときに、そして、看護師の投与時の計算エラーは、医師が処方した有効成分量(例、80mg)から製剤量(例、0.8mL)に換算するときに発生しやすいとされています。

 これらの計算エラーのうち最も多いのが、投与量の計算エラーです。かつて小児科病棟での仕事を始めるに当たって、小児科の教授から強く希望されたのが、投与量計算のサポートでした。つまり、医師が処方した薬の用量を看護師が正しく投与できるように、「1バイアルを○○mLの生理食塩液で希釈し、そのうちの△△mLをディスポーザブルシリンジに吸引すべきかを、注射薬の処方箋に記述する」というものでした。

 小児専用の注射剤は限られているので、小児患者に対しても成人用の製剤を使わなくてはならない場面が少なくありません。このため、ほとんどの場合は希釈して、さらに、その一部を使用するということが必要となってきます。当然、計算エラーの危険性は高く、教授の強い希望も納得できるものでした。

 実際に、600人以上の新人看護師対象に実施した投与量計算の調査においても、正答率は決して高くありませんでした。医学部生にも投与量の計算を試みてもらいましたが、同様の結果でした。おそらく、薬剤師の場合も、正答率100%というわけにはいかないでしょう。

著者プロフィール

古川裕之(医療安全システムデザイナー)ふるかわ ひろゆき氏◎雪国(福井県大野市)の生まれ育ちなのに、性格はなぜかラテン系。1975年金沢大学薬学部卒業後、同大医学部附属病院、臨床試験管理センターを経て、2010年より山口大学医学部附属病院薬剤部長。18年に退職し、現在はフリーランスの「医療安全システムデザイナー」として活躍中。趣味は、写真撮影とブラジル音楽のバンド。薬学博士。

連載の紹介

古川裕之の「STOP!メディケーションエラー」
調剤する人は調剤エラーをする。調剤しない人は調剤エラーをしない。仕事をする限り、エラーから逃れることはできませんが、エラー事例から学ぶことで、重大なエラーを避けることはできます。「メディケーションエラー」防止に向けた10年以上の取り組みを通して学んだことを、分かりやすい具体例を示しながら紹介します。
お気に入りの1枚の写真を添えて…。

この記事を読んでいる人におすすめ