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当事者の責任追及ではなく、再発防止策を考えよう

2011/12/05

現在住んでいるアパートの階段から撮影した夕陽。それ以後も挑戦していますが、今のところ、これ以上の写真はありません。2011年4月撮影。

 患者本人やスタッフからエラーの指摘を受けたり、作業後に自分自身でエラーに気付いたりすると、非常に動揺します。自分のエラーは、できれば人に知られたくないというのが正直な気持ちです。そして、できるなら、他人に知れ渡る前にエラーの事実を消滅させたいというのが本音だと思います。

 しかし、どんな場合であっても「エラーの事実を隠す」ことは厳禁です。「仕事をする人は誰でもエラーする」のですから、何らかの対策を取らなければ、同じエラーが繰り返されることになります。発生したエラー事例からエラーを引き起こした根本原因を抽出し、それを除去することができれば、同じようなエラーの再発を減少させることが可能です。

 「医療安全管理」が社会の関心を集める2000年以前は、責任追及型の対応が主流だったと思います。つまり、「誰がエラーしたのか?」→「当事者の処罰」→「一件落着」というパターンでした。

 でも、エラー発生の原因は必ずしも個人の中にだけ存在するものでありません。電話などで作業が中断された、複数機種の輸液ポンプを併用している、名称・外観が似た医薬品が使用されているなど、エラーを誘う原因は少なくありません。2000年以降、全国の医療機関で、自主的なエラー報告システムの導入が進み、報告されたエラー事例の分析を行うことで根本原因を抽出し、有効な再発防止計画を立て、それに基づいて業務手順を改善していくという「対策指向型」の動きが拡大しています。これは、とても良い方向だと思っています。

著者プロフィール

古川裕之(医療安全システムデザイナー)ふるかわ ひろゆき氏◎雪国(福井県大野市)の生まれ育ちなのに、性格はなぜかラテン系。1975年金沢大学薬学部卒業後、同大医学部附属病院、臨床試験管理センターを経て、2010年より山口大学医学部附属病院薬剤部長。18年に退職し、現在はフリーランスの「医療安全システムデザイナー」として活躍中。趣味は、写真撮影とブラジル音楽のバンド。薬学博士。

連載の紹介

古川裕之の「STOP!メディケーションエラー」
調剤する人は調剤エラーをする。調剤しない人は調剤エラーをしない。仕事をする限り、エラーから逃れることはできませんが、エラー事例から学ぶことで、重大なエラーを避けることはできます。「メディケーションエラー」防止に向けた10年以上の取り組みを通して学んだことを、分かりやすい具体例を示しながら紹介します。
お気に入りの1枚の写真を添えて…。

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