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ついに調剤過誤をしてしまった私

2016/07/18

 私が働いている今の薬局は、薬剤師と助手の2人だけで、1日約150枚の処方箋をこなします。前の職場に比べると、とってもきつい職場です。

 薬剤師は13時間連続の立ち勤務で、昼食や休憩の時間も決まっていません。患者が途切れたタイミングで5~10分見つけてはコーヒーを飲んだりサンドイッチを頬張ったりして休息を取りますが、その間も電話は鳴り、きちんとした「休憩時間」にはなりません。

 この薬局で働き始めた当時は、この勤務形態に慣れず、仕事が終わる夜10時にはくたくたで、頭の中が真っ白でした。足もむくんでしまい、回復に半日ぐらいかかってしまうので、休みの日には1日中ソファでゴロゴロしてしまいます。

 今では、そんな13時間勤務にも慣れてきたのですが、ある晩、助手がちょうど休憩に入り、私1人で働いていた時に、試練が訪れました。

 2~3人立て続けに、手間の掛かる処方箋を持った患者さんが来局し、少しパニック状態になったところに、歯科医からの処方箋を持った患者の父親がやってきたのです。 

「処方箋に書いてある全ての薬をください」(カナダでは、複数の薬剤が処方されている場合、そのうち投薬してほしい薬を選べます)

「私の娘(患者)はセリアック病なので、全ての薬にグルテンが含まれていないかチェックしてください」

「今すぐ欲しいので、ここで待っています」

 処方内容は、
クリンダマイシン300㎎錠
タイレノール#3錠 
コデイン30㎎錠

でした。タイレノール#3はアセトアミノフェン300㎎、コデイン30㎎、カフェインの配合錠です。

 処方内容をレセコンに素早く入力し、薬を数え、それぞれの薬にグルテンが含まれているかどうかを調べながら、「タイレノール#3には既にコデインが入っているのに、なぜ別にコデインが処方されているのだろう。不思議な処方だなぁ」と思いつつも、患者は医師から服用方法を聞いているはずと思いながら調剤をしました。

 患者の父親には、全ての薬はグルテンフリーなので安心して服用できること、薬効などを説明しながら、この2種の痛み止めの服用方法を医師から聞いているか、尋ねました。

 父親は「自分は何も聞いていないけれど、母親が聞いているかもしれない。家に帰って母親に聞いてみる」と言います。それで私は、「この2種類を飲んでもコデインの1日量は超えませんが、医師から何か特別な服用指示が出ているか確認してください。どちらか1種類をまず飲んで様子を見てください」と服薬指導をして、これら3種類の薬剤を交付してしまいました。

著者プロフィール

マイルバガナム恵美(カナダ・オタワ在住)
まいるばがなむえみ氏。1995年神戸薬科大学卒業、2004年まで薬局勤務。05年にカナダで薬剤師免許を取得後、薬局勤務。12〜15年は日本で薬局に勤務し、15年夏にカナダに戻る。カナダ糖尿病教育者。15年に『カナダで薬剤師になる!』をアマゾンKindleストアで出版。

連載の紹介

マイルバガナム恵美の「日本とカナダの薬局見聞録」
日本の薬局で働いていたときにカナダ人留学生と出会って結婚したマイルバガナム氏。ご主人とともにカナダに渡り、薬剤師免許を取得してカナダの薬局に勤務していましたが、ご主人の仕事の関係で一時帰国し、日本で薬剤師として働いていました。現在はカナダに戻り、両国の薬局の勤務経験を持つ同氏が、カナダでの免許取得の苦労話や、カナダの薬局での体験談や医療事情などをつづります。

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